この話は過去に10回ほど書いていますが、全国から「電話による」問い合わせが多い話です。
なぜか?
多くの場合、明後日売買契約締結なのですが、明日までに手付金を振込んでくださいと言われた。
御社(弊社住宅相談センターのこと)のブログには、手付金の事前振込みは絶対にダメと書いてあるがというものです。
つまり期限が切羽詰まっていることから、メールではなく電話で問い合わせて来られるのだと思います。
そんなに切羽詰まって不動産を購入しても良いのでしょうかというのが正直な感想です。
今回の相談者は、仲介しているのが超大手の不動産会社で、売主ではなくその会社の口座に手付金を振込むように言われたそうです。
なぜ事前に振込む必要があるのですか?と質問したところ、担当者は「ほかに取られないように物件を押さえるため」と言ったとのこと。
それはおかしい。おそらく社内の他の営業マンに成約されたくないので、自社の口座に「手付金」が振り込まれた順に優先順位をつけるという会社のルールになっているのでしょう。
しかし手付金とは売買契約締結と同時に買主から売主に支払う金銭とされています。
事前に振込むのは法的に手付金になりません。これは単なる預り金です。
手付金なら仮に無くなっても契約書に基づいて対処できますが、預かり金は法的根拠がないのでどうなるでしょう?
本当に手付金なら売買契約締結と同時に支払うのが正解です。
現金を持ち歩くのが怖いなら銀行振出小切手でも良いし、最近はネットバンキングで契約の場から即座に振込むこともできます。
いずれにしても「手付金」の事前振込は法的根拠がありません。
とここまで書いて、今回のメースは超大手不動産会社が仲介しているということですので、おそらく「手付金保全サービス」を使っていると推測します。
買主が支払う手付金を引渡し前に売主が持ち逃げするなどのリスクを回避するために、仲介会社が引き渡しまで預かるサービスです。
これは詳細な契約に基づいて保全する仕組みで利用される方も多く問題はありません。
ただし正確に説明すると、契約時に買主が売主に支払う手付金を仲介会社が預かって引き渡しまで保全します。仮に契約が成立しなかったら、無利息で速やかに返還しますとなります。
この場合振込みいただいたからと言って、物件を押さえるという意味はありません。
契約当日、仲介会社が手付金を預かる事務を簡略化するために事前振込みと言っているだけで、本来は当日支払でも問題ありません。
いずれにしても手付金の事前振込みについては、営業担当者は正確に買主に説明するべきで、「物件を押さえるため」などという方便はなくさないといけません。
