5月11日のこのブログで「不動産売買契約締結の前に買主は手付金を振り込んではいけない」という話を書いたところ、思いの他反響があり驚いています。何件かお電話もいただきました。
差支えない程度にご紹介します。
首都圏の仲介業者さんからお電話。
「私のお客様に大手不動産会社が売主の建売住宅を紹介して、この日曜日に契約になるところまで来たが、買主さんが御社(住宅相談センター)のブログを読んで、手付金の事前振込はやりたくないと言い出した。」
「絶対にやってはいけないのでしょうか?」
「売主は上場企業の大手不動産会社なので、当然顧問弁護士も居るだろうし相談して事前振り込みを指示してきているはずなので、法的に問題があるようには思えないけど。」
「逆にそういう大手企業がやっているということは、何か裏付けがあってやっていると思う訳で、御社(住宅相談センター)では、どういう条件が揃っているからやっていると考えますか?」という質問までいただきました。
私の回答は「わかりませんね。逆に法定的に問題ないという理由をご教示いただきたいくらいです。」
大手不動産会社が手付金を事前振り込みにしたい理由は、おそらく次のようなことではないかと考えます。
1.買主様が手付金を持って会社まで契約に出向くと、途中で落としたり忘れたり盗まれる危険がある。
➡それなら現金ではなく銀行振出小切手にすれば、紛失しても安心ですけど・・・
2.事前に振り込まれれば、間違いなく日曜日に契約にいらっしゃることがわかるので、契約の準備がし易い。
➡売主の都合ですね。
3.仮に私が言うように、日曜日に契約締結をして月曜日に手付金を振り込む形にすると、ひょっとすると気が変わって振り込んで来ない人が出る可能性がある。
➡止むを得ませんね。これも売主の都合です。
4.経理が休みの日に現金や小切手会社に持って来られると、保管が大変だし人手をかけると紛失したり間違うリスクがある。
➡これも売主の都合です。
ということで、いずれも法的な問題ではありません。
どうしても振り込みでやりたいのなら、日曜日に売買契約を締結できたら、その場から買主様にネットバンキングで振込してもらえばよいと思います。
着金は月曜日になりますが、契約書の日付を月曜日にしておけば良いことで、何も問題ないと思います。
そこまで手付金の事前振り込みにこだわる法的な根拠を是非ご教示いただきたいものです。
最後に問い合わせをいただいた仲介業者さんは、話しぶりからきちんとされた業者さんだと思えましたが、盛んに「売主は上場企業の大手不動産会社で顧問弁護士もついているから大丈夫」とおっしゃっていましたが、長年不動産に携わって来た私からすると、上場企業だろうが顧問弁護士がいようが、聖人君子のように仕事をしている訳ではないことをお伝えしておきたいと思います。
次回もこの続きを書きます。