東京のテレビ局から「報道番組で欠陥住宅を取り上げるので、ホームインスペクターとして現地へ同行してくれないか」という依頼がありました。
日程が合わないのと、すでに欠陥住宅になってトラブルになっている現場に行くのは弊社の本意ではないので、他のインスペクターを紹介しました。
一般的にこの種の番組は、住宅の施主または買主、ホームインスペクター、番組関係者の3者が登場し、施主・買主が指摘する箇所をインスペクターが診て、「これは欠陥ですね」というシーンが流れます。
その後、その住宅を建てたハウスメーカーや売主業者に番組関係者が取材し、その誠意のない対応を流すというのが一般的でしょう。
しかし私はこの報道の仕方に違和感を覚えます。
日本の建築士法では建築士の業務は設計するとともに、施工現場を監理して図面と異なる工事があれば指摘し是正させることと規定されています。
監理建築士が正しく機能していれば、多くの欠陥が生じなくて済んだと思われます。
しかし実際は監理建築士が現場に来ることはほとんどなく、監理を現場監督や職人に任せているのが実情です。
正しく報道するのであれば、監理建築士にも取材し、なぜこのような欠陥を見過ごしたのかを糺すべきだと思います。
これをしている番組は見たことがありません。
公器であるマスコミは根本的な解決を図るべく、正しく法律を理解して報道すれば、監理建築士に対する国民の意識が変わり、欠陥住宅の数も減ると思うのですが。