変動金利型住宅ローンの金利が上がるのが心配というご相談が増えています。
変動金利型の金利が上がるとどうなるのか?という質問に、理屈やシミュレーションで答えられる人はたくさんいらっしゃると思いますが、自分事としてリアルに答えられる人はほとんどいないでしょう。
何故なら1991年以降に変動金利型を借りた人で、金利が上がって困った人はほぼいないからです。それだけ金利が下がり続けたということです。(少し上がった時期もありますが)
1991年と言えば32年前のことで、35年返済で借りた人で繰り上げ返済していない人でも完済間近ですから、金利が上がって困ったことはないのです。
しかし私は幸か不幸か1987年に変動金利型で住宅ローンを借りたので、リアルに何が起こるか自分事としてお話しできます。
せっかくの機会ですので、そのとき何が起こったかお話します。是非参考になさってください。
1987年変動金利5.2%、返済期間25年で中古マンションを購入しました。(5.2%!!!)
現在なら金利0.3%台、返済期間35年ができますが、当時はそれが目一杯。
変動金利型は半年毎に金利が見直されるので、半年に1回金融機関から償還予定表(次の半年間、毎月利息+元金でこの額を引き落としますという案内)が送られてきます。
あるときその表を見ていたら、毎月返済しているにもかかわらず、ローン残高が増えて行っていることに気づきました。
あわてて銀行に電話したら「ああ、未払い利息が発生していますね。」とつれない回答。
今でこそ住宅ローンコンサルタントなどと称していますが、当時は何のことなのかさっぱりわかりませんでした。
金利が劇的に上昇したために、毎月の返済額がすべて利息返済に回されただけでなく、それでも利息の返済が不足したために、不足分が未払い利息となってローン残高に積み上げられていたのです。
しかし変動金利型の「金利は半年毎に見直すが返済額は5年間は一定。6年目に上げることになっても、従前の返済額の125%までしか上げない」というルールによって、私の家計がただちに破綻することはありませんでした。
振り返ってみると最も金利が高かったのが8.5%でした。今では考えられませんね。
その後1990年に転勤辞令が出たためマンションを売ることにしたのですが、何と買った値段の2.5倍の値段で売れました。
そうです。バブル経済の真っただ中だったのです。
仮にローンを借り続けていたらどうなったか?
その後のバブル崩壊によって金利は大幅下落したので、おそらく6年目の返済額の改定があったとしても、返済に困ることはなかったと思います。
ただしマンションを売っても、価格が2.5倍などということはなくなっています。
今から変動金利型で借りようとお考えの方は、私が借りた時と同じ環境にいらっしゃると思いますが、果たして私のように行くかどうか?それは誰にもわかりません。
1つ確実に言えることは、仮に6年目で返済額が125%アップになったとしても、問題なく返済できるような借り方なら困ることはないでしょう。
なお5年ルールや125%ルールは、SBI新生銀行やソニー銀行、PayPay銀行などの変動金利型には適用がありませんのでご注意ください。