この一週間で同じ内容の相談が数件続きました。
認知症の親や祖父母が土地を提供してくれるので、住宅ローンを使って住宅を建て直したいという相談です。
聞けば、どなたもすでに施設に入所されているとのことです。症状としては、何とか住所・氏名は書けるかな?程度です。
あるところで成年後見人制度を利用したらできるのではないかと言われたのこと。
認知症の両親や祖父母に成年後見人を付けて、財産の管理をお願いすることができますが、自宅の建て替えは余程の事情がない限り家庭裁判所の許可が下りません。
何故ならもしある日認知症が回復して健常に戻った場合、自宅が無くなっていれば帰る場所がないことになるからです。
また成年後見人にできることは、財産の管理・維持・保全であって、自宅の解体、賃貸(この場合身内が借りるので使用貸借)は認められません。
さらに今回は住宅ローンを利用する予定ですが、融資する金融機関は建物と土地に担保を設定するため、地主である両親や祖父母の承諾が必要になります。
果たして認知症の方が担保設定を十分理解できて承諾するのか?
フラット35という住宅ローンは、借地に建築する場合、担保設定を必須としていません。地主の承諾書があれば、土地に担保設定しなくても融資を受けられる場合があります。
しかしその場合でも、地主として「承諾」する必要があるので、果たして認知症の地主さんが承諾できるのか?
ということで、認知症の方が関わる家づくりの相談はますます増えています。
認知症になってからでは手遅れです。将来計画が出そうな方は、早めに協議する必要があります。