先日お客様が持参された自宅の設計図を見てビックリ。指示書きが山のように書いてあります。
指示書きとは、図による表現だけでなく、文字を使って問題になりそうな箇所に追記して注意喚起することです。
設計図は細かな箇所まで表現している思われていますが、実はそうではありません。施工現場ではもらった設計図を見て、職人さん同士が議論することもたくさんあります。
そこで建築士さんは、できるだけ職人さんにもわかりやすく、議論しなくても済むように指示書きを加えるのです。
その設計図は一見して、明らかに断熱性能にこだわる施主さんのリクエストを反映したものとわかりました。詳しくは言えませんが、指示書きの内容が断熱性を左右する箇所に集中していたからです。
これだけしっかり指示してあれば、さぞ断熱性に優れた住宅ができるだろうと思いましたが、同時にこれを施工する業者さんは大変なんだろうな、トラブルにならなければ良いがとも思いました。
本当にこの設計図の通りの住宅ができるのだろうか?
一般の方は建築士がきちんと設計し、その図面通りに施工会社が施工すれば良い住宅ができると思われるかも知れませんが、建築士さんはあくまで建築士さんで施工業者ではないし、施工業者は施工のプロであって設計のプロではありません。
「建築士さんはこのように設計しているけど、現場はどうやってもこの通りに収まらない」ということはしばしば起こります。
完成後に雨漏れでもしようものなら、建築士さんは「施工が悪かったから」と言いますし、施工業者は「施工しにくい図面を描くからこうなった」と言います。
これは著名な建築士先生の現場でも起こっていることです。いやむしろ著名な先生の現場ほど起こりやすいと言っても良いでしょう。
ということで先日の図面を施工する業者さんは、これから合見積もりで決められるそうですが、単に安値で落札したというだけの業者さんではトラブルになりそうな予感がします。
過去の実績なども考慮して見積もりを取られることをお勧めします。