購入を検討している既存(中古)住宅の建物状況報告書に、「床に1000分の9の傾きがある」と書かれているが大丈夫か?というご相談。
まず建物状況調査は、資格ある建築士が一定の基準で建物を診断した結果を報告した書類で、宅地建物取引業法に定められた正式な調査です。
診断基準の中に「傾き」の判定がありますが、床に1000分の6以上の傾きがあった場合は「劣化事象あり」と判定され、いわゆる欠陥に当たるとされます。
ただし傾きの判定は、床の場合「おおよそ3m離れた異なる2点の間で計測する」という条件が付きます。
例えば、部屋の隅にピアノを長期間置いていれば床は下がります。そのような部分的な傾きは劣化とは見ないということです。
以上のことを踏まえると・・・
1.その判定が3mの距離を確保して行われた結果かどうか?
2.部分的な傾きではないか?
を判断する必要があります。
そして弊社の経験上、1000分の6以上の傾きが建物の構造にかかわるようなものではないと考えられるケースもあるので、劣化判定は慎重に行う必要があります。
正確を期すためには、レベルレーザーという測定器を使ってできるだけ短い間隔で詳しく測定する必要があります。
ご相談の物件はレベル図が添付されていなかったため、なぜ1000分の9もの傾きが生じたのか不明でした。
物件がたまたま私の家の近くでしたので見てきましたが、1000分の9の傾きが生じる理由が分かったので「劣化事象にあたる」と考えました。
それにしてもこの物件は、ちゃんと建物状況調査がしてあったので、傾きがあることがわかりましたが、調査がなければ大変美しい住宅なので、一般の方は傾きのことを知らないで買ってしまうと思います。
その点ではセーフでした。