「ペアローンを利用するときの注意点を教えてください」という相談が増えています。
私自身あちこちで書いていますので、ここではよそで書いていない点についてご紹介します。
ペアローンを利用する目的として、よく言われるのが夫婦ともに住宅ローン減税を受けられるからというものがあります。
そのこと自体は間違いではありません。
しかし実際の資金計画を拝見すると、住宅ローン減税のためにペアローンにした意味が理解できないケースもあります。
ここで住宅ローン減税の仕組みをおさらいしておきましょう。
減税は次の3つのうち最も少ない額が13年間にわたって還付されます。
1.住宅ローンの毎年の年末の残高
2.制度で決まっている一定額(今年から住宅の断熱性能によって額が異なります)
3.住宅ローン利用者の毎年の所得税(控除しきれない額があれば、最高97,500円まで住民税からも控除)
これを踏まえて注意することは、
・ペアローンを利用する夫婦ともに、控除に値する所得税を13年間払い続けるか?
・住宅ローンの年末残高が13年後も控除限度額まで残っているか?
・どちらか一方の住宅ローンだけで全額控除できるのではないか?
特に一番最初の「夫婦ともに控除を利用するに値する所得税を払い続けるか?」は重要で、途中で育児休暇を取るとか、退職するなどで所得税を納めなくなった場合、減税効果がなくなることがあるので注意が必要です。
ですから、これはペアローンに限ったことではありませんが、必ず事前に夫婦のライフプランを確認して、それに基づいたキャッシュフロー表を作成し、減税を利用するに値するかどうかを確認する必要があります。
この表を作っておけば、夫婦のどちらがいくらのローンを借りて、もう一方がいくら借りるかなどもわかるのですが、そこまでされている方は少ないようです。
住宅ローン、特にペアローンの場合は倍のメリットとリスク
があるわけですから、必ずキャッシュフロー表を作るようにしましょう。