最近は病気で働けなくなったときに住宅ローンの返済に困らないように、疾病特約付団信が用意されているローンが増えています。
この特約を利用する場合、特約料は住宅ローンの金利に含まれている場合もありますし、金利に0.1~0.3%上乗せになる商品もあります。
この商品は大変人気があって利用する方が多いようです。
FPとして、この特約をどう評価するか?
先日ある保険の外務員さんから「この特約はどう思いますか?」と聞かれたので、「あなたは何年保険の仕事をしていますか?」と質問しました。
約15年とおっしゃるので、「あなたがこの仕事を始めた頃、こんな商品はありましたか?」と更に質問。
「ありませんでした」とのことでしたので、「そうでしょう。つまり保険の世界は、医療の発達とともに日々進歩しており、保険の内容もどんどん変化していることは、あなたの方がよくご存じですよね。」
「15年間で考えてもそうですから、返済期間35年もあれば更に進化します。」
つまり、現在の特約は例えば「心筋梗塞に罹患して6か月以上いかなる業務にも従事できない状態が続いた場合、保険金でローン残高が完済される」などとなっていますが、この要件もどんどん変化して、他の保険でより有利な保険が登場することが予想されます。
そのときになっても、住宅ローンについている特約は解約することができません。
結果として、特約の趣旨はよくわかるし加入したくなる気持ちもわかりますが、保険業界の流れを見ると、35年間(途中で繰上げ返済して、それより短くなったとしても)特定の保険で固定してしまい、見直しや解約できない状態になるのは疑問が残るというのが結論です。
疾病特約付団信の特約料は金利上乗せ0.1%とした場合、借入額1000万円あたり、35年間で176,437円、月額にして420円ですから、大したことはないということでしたら加入されるのも良いでしょう。
いずれにしても資金計画を立てるときに、その分も含めてシミュレーションすれば良いのですが、実際この特約への加入を決めるのは、最後の申し込みの時になることが多いため、シミュレーションをしないで加入することになり、思わぬ負担を負うことになるのでご注意ください。
疾病特約付団信の加入も、きちんとライフプランをシミュレーションしてから判断しましょう。もちろん無料で加入できる場合は別です。