(5)妻が新たに住宅ローンを借りて夫の持ち分を買う
いよいよ最後の手段になります。
妻に資力はないが収入はある場合、妻が住宅ローンを借りて夫との間で売買契約を成立させて購入するという方法が考えられます。夫婦間売買です。
ところがこのことを知った金融機関は住宅ローンを融資しません。夫婦間の売買は親族間売買にあたり融資の審査さえしてもらえません。
親族間売買はマネーロンダリングに利用されたり、「住宅」ローンで実行された資金を「事業」資金に充てたりする恐れがあるので金融機関は一切審査しないのです。
夫と妻の間の親族間売買には住宅ローンは「原則」使えません。
離婚に関するマイホームと住宅ローンの相談のほとんどは、ここで立ち止まることになります。
そこで1つヒントを出します。
夫婦間で売買するから融資が出ないのなら、夫婦でなくなれば良いのです。
つまり離婚した後に売買契約をすれば、赤の他人の元妻が融資を受けて元夫に代金を払って自宅を自分のものにすることができます。
ただしこれを実行するには周到な準備が必要になります。今から離婚しようという夫婦が、このためだけに周到な話し合いができるとは思えませんが、間違いない方法です。
そのため離婚する前に協議書に「離婚後にこれこれこういう条件で売買することに合意する」と公正証書にしておくと良いでしょう。
なおこの場合、一般の不動産売買と同様に仲介業者を入れて立会印を押してもらう必要があるので、通常の仲介手数料(売買価格の3%+6万円)ほどではないにしても、それなりの手数料を払わなければなりません。
ちなみにこの売買によって譲渡所得が発生した場合、要件を満たせば「居住用財産の3000万円の特別控除」も受けることもできます。
※3000万円の特別控除は、夫婦などの親族間、親族の会社への譲渡は対象になりませんが、離婚後なら対象になります。