工事開始前にもかかわらず、土地だけの状態で売り出されている建売住宅の売買契約に立ち会ってきました。最近このパターンが多いです。
建売住宅にもかかわらず、姿かたちはまったくない状態で契約するのですから、お客様も不安なのでしょうか、弊社に立ち合いを依頼されます。
このような販売方法は、完成したときに「思っていたのとは違う」とトラブルになるといけないので、消費者保護のために法律でいろいと制限を設けています。今回はたくさんある制限の内、2つの制限についてご説明します。
【制限1】
販売開始は建築確認済証が発行された後に限る。
確認済証が発行されるということは、建築が認められたわけなので、まったく違うものを建てることはできないということで、このように決められています。
今回の物件は、当然済証が発行されています。
【制限2】
重要事項説明書で、完成時の状況を説明する義務がある。
売買契約の前に物件について宅建取引士から重要な事項の説明を受けますが、この中に「宅地造成または建物建築の工事完了時における形状・構造等」という欄があるので、ここで説明を受けます。
内容は対象不動産の建築確認済証・仕様書・施工図・平面図・立面図等の図面をもとに説明することになっています。
これだけ資料が揃っていれば、完成時に違ったものだったということはないということです。
今回の立ち会いで私が図面を見ていたところ、どうしても図面通りに工事できそうにない点を見つけました。
「この箇所はこの図面通りにはできないと思いますが、いかがでしょうか?」と質問したところ、売主業者は「現場監督や設計担当と相談して決めていくので、多少図面と違うところが出るかも知れません。」という回答。
これはいけません。重要事項説明の意味がなくなります。
完成時の形状・構造等を間違いなく説明しなければ、完成時に「聞いていたのと違う!」とトラブルになります。
今回のケースは、私が考える限り正しく工事をすれば、1つの部屋の壁が20センチほど移動することになり大問題になる可能性がありました。
最終的に設計担当者から、ちゃんと図面通りにするようにしますと回答を得て無事契約は終了しましたが、果たして現場でどのように施工するのか?心配ではあります。
このようなケースは、できていないものを買うわけですので、添付資料はしっかり見ておく必要があります。
弊社では重要事項説明書の資料を読み込む業務を行っています。是非ご相談ください。