日本を代表する大手不動産会社X社が10数年前に分譲したマンションの一室の購入を検討されている方からのご相談。
修繕積立金が間もなく5000円値上げされることが決まっているが、その額が妥当かどうかわからないので、買うのをためらっているとのことです。
長期修繕計画書を拝見して検証してみました。
分譲当初の修繕積立金は7000円。10年目までに14000円に値上げされて現在に至っています。ここまではよくあることです。
それから3年も経たないうちに、さらに5000円の値上げです。確かに不安になりますね。
修繕計画書では、今年2022年に大規模修繕工事をすることになっていますが、仲介業者(この業者はX社の子会社です)の話では、今のところ予定はないとのことです。
仲介業者が言うには「分譲当初の金額設定が少なかったから値上げするのでしょう。」とのこと。あなたの親会社の見込み違いですよ。
さらによく見ると今年工事をするとなると、工事費を積立金で支払えないようです。
おそらく各戸一時金を支出するのを避けて、積立金を値上げして貯まるまで工事を延期したものと推測します。それなら3年後にはできそうです。
しかしさらに見てみると・・・
今年予定されていた大規模修繕工事の予想工事費は、戸当たり195万円になっています。
確かにマンションの仕様や形状、設備、築年数によって戸当たりの金額が異なりますが、分譲後初めての工事で戸当たり195万円は法外な金額です。
私が今関わっている別のマンションの工事費は戸当たり110万円です。(こちらは相当古いマンションで分譲後4回目の大規模修繕です)
この金額を見てこう考えました。
長期修繕計画書にこの見積もり金額を提示しているのは、やはりX社の子会社である管理会社です。
工事費を高く提示しておき、その金額が妥当な工事費と思わせることで、工事業者から紹介料を受け取るか、やはりX社のグループ会社に工事を受注させることでX社グループ全体で利益を上げようとしているのだと思います。
このマンションのこの時期の大規模修繕工事として、私が予想する工事代金で工事できるとすれば、積立金残高は十分あるので、今年予定通り工事はできたものと思われます。
つまりこのマンションは、他のマンションにもありがちな、維持管理をX社グループに丸抱えされているマンションであって、コストがかかるマンションだと判断しました。