最近はネットでほとんどの商品が購入でき、しかも実店舗がなく人件費も少なくて済むことから、お値打ちな価格で販売されています。
住宅を新築される方の中にも、キッチンや洗面化粧台、照明器具やエアコン、壁紙まで、建築会社の見積もり金額をネットで確認する方も増えています。
そして大抵の場合、ネット販売の方が安いので、ご自身で購入され建築会社の方をキャンセルされることも多いようです。
このように建築部材などを施主さん自身が取り寄せることを「施主支給」と言います。
ただし施主支給には大きな問題があることも理解しておいていただきたいと思います。
1.部材がタイムリーに入荷しない
住宅新築では工程に従って、現場監督が整然と部材を発注し、タイムリーに現場に納品されるように手配しています。
これに対して支給部材は、工程にかかわらず入荷するため、工事に遅れが出たり、逆に入荷が早すぎたりという問題が起こります。建築会社には大変迷惑な訳です。
2.部材の保管・管理
現場に納品された部材は、取り付けまで誰が保管・管理するのでしょうか?そしてその責任はどうなるのでしょうか?
建築会社からすると施主支給の部材は自社のものではありません。あくまで施主の所有物です。保管・管理責任は施主にあるのが自明です。
しかしそれを工事現場で預かる以上、保管料・管理料を請求することになります。施主さんはこの料金を見ていないことがほとんどです。
3.取付工事
施主支給の部材が現場に納品されたとして、誰が取り付けるのでしょうか?
ほとんどの場合、建築会社が請け負うと思われます。
そうなれば当然、建築会社は取付工事費を施主に請求することになります。
施主さんはこの費用も考慮されていないことがあります。
4.責任の分担
最後に以上のことをクリアした上で無事現場に取り付けられたとして、その後何らかのトラブルが発生した場合はどうなるでしょうか?
例えばキッチンの水道から水が漏れたとしましょう。その原因は水道工事にあるのか、支給された蛇口にあるのか?これを究明するのは相当困難な話です。
建築会社にすべて任せれば、建築会社の責任ということで補修も速やかにされると思います。
ということで、ネットでお値打ちに購入されることに問題はありませんが、現場ではこのような費用が必要になるし、工事の責任の範囲を巡って問題になることもあるので、その点十分ご理解をいただきたいと思います。