昨日、手数料を事実上法定額を超えて取ろうとする悪質な不動産仲介業者の話を書いたところ、その会社はどこですか?という問い合わせがありました。
このご質問にお答えしたり、このコーナーで発表したいのはやまやまですが、どのような方かわからない方に回答して、回りまわってその業者から抗議が来ると、無駄な時間と労力を使わなければならないことになるので、弊社のお客様以外にはお答えしないことにします。
その代わり、もう少し具体的な説明をしますのでご容赦ください。
今回の仲介業者X社は、売買契約日に「引き渡し日や場所の設定」「司法書士の紹介」などの業務を、グループ会社Z社に依頼することを条件としZ社に38,500円の手数料を支払うことを強要しました。
本来この2つの業務は、仲介業者が無料で通常の業務の中で行っていることで、一般のまじめな仲介業者にお願いすれば払わなくても良い費用です。
ところが、私の記憶が間違っていなければ(30年ほど前に調べた判例によります)、法律上仲介業者の業務は契約を成立させることで報酬を得るものと考えられています。
つまり手数料は契約が成立すれば受け取ることができます。この額は法律で上限が決められています。(売買価格の3%+6万円と消費税、賃貸契約なら賃料の1か月分と消費税)
しかし契約が成立しただけでは、売主買主は無事に不動産の引き渡しができないので、「仲介業務の付随業務」として引き渡し日や場所の設定や司法書士の紹介をしているというのが法律上の解釈だったと思います。
そう考えると仲介業者X社が「仲介業務の付随業務」をグループ会社Z社に有料で委託するようにしていることは、「付随業務」に限って委託し、その分の報酬を要求としても宅建業法違反にはならないと解釈できます。
X社の顧問弁護士は、その点を知った上でこの仕組みを採用させているのだろうと推測します。
この解釈が正しければ、38,500円を法定報酬額を超えて別会社に支払うことを強要しても、宅建業法違反にはならないということです。
しかし法的にはそうであったとしても、そういう費用が必要になるということを契約日当日まで説明しないというのは、別の法律に抵触すると考えます。
例えば独占禁止法違反や「不動産の表示に関する公正競争規約」違反を問われる可能性があります。
いずれにしても、他の業者なら払わなくて済んだものですから気持ちの良いものではありません。
こういう問題が出る原因は、仲介業者が受け取ることができる報酬額の上限額が決められていることにあると思います。
この際、他の業界に習って手数料を自由化するべきだと思いますが、これには国交省も不動産業界も消極的なんですよね。グローバルスタンダードと言いながら、ここだけは日本の伝統堅持なのです。
ということでこの問題の対応方法は、契約が決まったら、早めに契約書類一式を取り寄せて読んでおくこと。この位しかありません。
弊社住宅相談センターでは重要事項説明書の確認業務を行っています。ご利用ください。