不動産業界の大先輩が「こんなに不動産価格が上がることがわかっていたら、買い占めておけば良かった。」と悔しがっています。
これは最近の名古屋圏の不動産価格の上昇を受けた話です。
この方は1980年代後半のバブル経済のときも、この業界に居たので、それを教訓にすれば今回の上昇は先取りできたはずですが読めなかったので悔しがっているのです。
何故読めなかったか?
「バブルは姿を変えてやってきる」とは、一橋大学特任教授の藤田勉氏の言葉ですが、まさにそのとおりです。
1980年代後半のバブル経済は、急激な円高を防衛するための過剰流動性が、不動産と株式に向かって異常な高騰を見せたものでした。
土地が売りに出ると不動産業者が買い取り、それをそのまま転売すると再び不動産業者が買い取って転売する。最後は誰がババを引きくかというゲームになっていました。まさにバブルです。
結局1990年3月、当時の大蔵省(元財務省)が発表した不動産融資の総量規制をきっかけにして、その後はみなさんご存じのバブル崩壊、「失われた30年」となったものです。
次のバブルは2006年からのミニバブルとかファンドバブルと言われるもので、こちらは都市部を中心としたビルやオフィスなどの収益不動産がファンドと言われる人たちに、相場を無視した価格で買われたものです。
ファンドは購入した収益物件の収益性を上げることで高値で転売して利益を上げました。
こちらの終焉はご存じ2008年のリーマンショックでした。
今回は低金利の中、COVIDー19による景気後退で投資先を失ったマネー、国民全員に一律支給した10万円や富裕層の保有する資金が余ったため、不動産(一部は株式や宝飾品・高級車など)に向かって価格が上昇しています。
住宅用地や流通センター用地が高値で成約しています。
ただ前の2つのバブルと違い、1つの不動産が転売転売されることは少ないようです。
不動産業者が買い取った物件は、最終的にはエンドユーザーが購入しており、その点では実需が伴っているのでバブルではないと考えられます。
しかしエンドユーザーの購入能力には限界があります。
現在の相場はすでにエンドユーザーの能力を超えており、ピークと言えると思います。
これは中古マンション市場にも同様のことが言えます。
業者が買い取ってリノベーションして高値で売却するのですが、これももう限界に近い価格になっています。
この相場はどのようなきっかけで下落に向かうのか?要素はたくさん考えられますが、その時期はわかりません。
ということで、不動産価格の上昇下落は一定周期でやってくるとはわかっていても、毎回姿を変えてやってくるので、業界の大先輩と言えども予測できないということになります。