車いす対応の住宅を建てるのは結構大変です

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車いす対応の住宅を建てるのは結構大変です

老後に車いす生活になっても、自力で住むことができる住宅を建てたいというご相談がありました。高齢社会の進展・単身世帯の増加とともに、この種のご相談は増えています。

弊社住宅相談センターでは、車いす生活ができる住宅新築のお手伝いをしたことがありますが、真剣に取り組もうとすると考えているより大変です。

問題点を今回のご相談の中からいくつかご紹介します。

■駐車場に車を駐車して、室内まで自力で行けるようにしたい。

⇒ 今回の候補地は道路から1m高くなっており、その上に住宅を新築すると、基礎高を含めると玄関までの高さ少なくとも1.4m。

基準では屋外のスロープの勾配は1/15以下であることになっていますので、スロープの距離は最低でも21m必要になります。

この距離を直線的に進むと途中で疲れるので、1~2箇所折れ曲がるところを設けることが望まれます。これによって相当な面積を割くことになります。

■玄関から室内へ自力で行けるようにしたい。

⇒ 玄関まで到達したとしても、玄関ドアを開閉して中に入り、三和土(たたき)から框(かまち)を上がって廊下に至るまでの段差は、自力では登れないので工夫が必要になります。基準では室内にスロープを設ける場合、勾配は1/12以下とされています。

一般的には玄関から入ることは難しいと考えられるので、屋外のスロープをリビングなどの前までつけて、サッシから室内に入る方が楽だと考えられます。ただしサッシの防犯に課題が残ります。

■室内も車いすで生活できるか?

⇒ 車いすの幅はJIS規格では、電動700㎜以下、自走630㎜以下となっています。通常の日本建築の単位では、廊下の幅は壁芯で半間(910㎜)=有効770㎜程度になります。

これですと車いすで楽に行き来することはできません。望ましい幅は壁芯で120㎜以上とされているので、その分居室などの面積が狭くなります。

同様のことが浴室・洗面所・トイレ・ドアなどにも言えますが、行くだけでなく回転して帰ってくることを考えると、さらに広いスペースが必要になります。

今回の敷地はご希望の面積より狭いため、ご要望をすべて入れると満足できるプランができないことをご理解いただきましたので、購入を見送ることになりました。

通常車いす生活になった場合、自宅を改修して住み続けることは稀で、施設で暮らすことが多いと思います。