ウッドショック下の請負契約書の注意点

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ウッドショック下の請負契約書の注意点

アメリカのCOVID-19感染拡大にともなう郊外住宅ブームによってもたらされた”ウッドショック”=輸入木材価格の高騰と品切れでは、木造住宅の建築を検討されている方や建築中の方が大きな影響を受けました。それは現在も続いています。(アメリカ国内の木材価格は落ち着いたようです)

これはお客様だけでなく建築会社にとっても突然の話で、全国でトラブルになっていると聞きます。

当然のことながら、今後同じような事態が起こってもトラブルにならないように、請負契約書の内容を検討しなければいけません。

本日は建築業界では有名な弁護士事務所が作成した「このような事態に対応するための覚書」を紹介します。業界では建築会社側に立った弁護をすることで有名な事務所で、建築会社にとっては救世主と言われています。

その内容は、まず前文で・・・

現在、北米等木材産地国内の需要上昇による世界的な木材価格高騰等に伴い、日本国への著しい木材輸入量の減少、輸入の遅延等が生じている情勢にあることに鑑み、工事発注者と請負者は、以下の通り合意する。

としたうえで、

第1条(工事の変更・追加)

請負者は、工事材料等の価格高騰、輸入量の減少、輸入の遅延その他経済情勢の変化及びこれらに伴う工事材料等の納品の遅延(以下「対象事象」という)によって、仕様の変更又は追加等の設計・工事の変更を行う必要があるときは、工事発注者に対して、設計・工事内容の変更を求めることができる。

第2条(工期の変更)

請負者は対象事象によって、工期内に工事又は業務を完成することができないときは、工事発注者に対して、工期の変更(中略)を求めることができる。

第3条(請負代金の変更)

請負者は、対象事象により、請負代金が適当でないと認められるときは、工事発注者に対して、請負代金の変更を求めることができる。

(以下省略)※本文では工事発注者は「甲」、請負者は「乙」となっています。

私個人の考えでは、この覚書を使った場合、施主(工事発注者)は工期や代金の変更を一方的に承諾しなければならないことになり、不利な立場に置かれると考えます。

最近の一般的な住宅の工期は3~5カ月程度と考えられます。請負者がその間の材料の調達を確認しておけば、工期中に変更が発生することは少なくなると考えます。

したがって私としては、請負者が対象事象による変更を申し出る期限を「部材発注のときまで」としたり「着工日の2週間前まで」などとしておく必要があると考えます。

これであれば、仮に「100万円アップになります。」と言われても、施主は「それなら止めます。」と言うこともできます。

この覚書では施主の意向が全く反映されないので、もう少し請負者と協議して互いに妥協できるような条文にしておくことをお勧めします。