大規模修繕に関する話の2回目。
2棟で総戸数100戸の分譲マンションが、何回目かになる大規模修繕工事を計画していました。
理事会で議論の末、そのマンションの日常の管理業務を委託している管理会社のグループ企業(X社とします)に「特命入札方式」で工事業者の選定を依頼することにしました。
この管理会社は、日常の修繕工事も「特命入札方式」で工事業者を決めていましたので、理事会は特に問題視することなく決めたようです。
この「特命入札方式」という言葉を聞いたとき、私はどのような方法で業者選定をするのか理解できませんでした。
なぜなら一般的な建築の世界では「特命」というのは最初からある1社に任せることを言いますし、「入札」というのは複数社に見積もりなどを依頼して競わせることだと理解していたので、矛盾する2つの言葉が併存しているこの言葉は理解できなかったのです。
よくよくお聞きすると、こういうことでした。
工事はX社に任せることを決めたので「特命」ということになり、そのうえでX社は複数の業者に入札させて、その中から一番良い業者を選ぶので「入札」なのだそうです。
結果として工事の元請となるのがX社で、入札で選んだ業者が下請けとなるということのようです。
この方式のメリットは、
1.業者選びの手間が省力化できる。
2.元請が管理会社のグループのX社なので、工事で何か問題が起こったとしてもX社を窓口として話がし易い。
3.X社は管理会社のグループ会社なので、このマンションのことを十分理解しているし、情報を取得しやすい。
正直、管理組合が工事業者を入札して選ぶ方式は、担当する役員の方には相当な重労働になります。最初からX社に任せれば、役員、大規模修繕委員、区分所有者は大変楽なことは間違いありません。
理事長は区分所有者に時間的、精神的な負担をかけないために、この方法を採用することを理事会で決議したようです。ちなみにこの理事長さんは、以前にも大規模修繕に関わったことがあって、その重労働を十分理解していらっしゃったようです。