分譲マンションの大規模修繕は、関連業者にとって大きなビジネスチャンスになっています。関連業者とは大規模修繕をする工事会社だけでなく、日頃そのマンションの管理業務を請け負っている管理会社も絡んできます。
関連業者が大規模修繕を歓迎するのは、次のような理由があります。
1.大規模修繕は定期的に必ず実施される。
一般的には10~15年に1回実施されます。
2.金額が大きい。
マンションの規模等によりますが、工事金額が億円単位になることがあります。
3.資金計画が筒抜け。
管理組合が積み立てている修繕積立金工事費支払いの原資になりますが、この額は日頃管理業務を委託されている管理会社に筒抜けになっています。つまり管理組合が払える金額がわかってしまっているということです。
4.発注者は素人。
工事を発注するのは管理組合ですが、これはマンションの区分所有者全員で構成されており、一部には建築に詳しい人もいると思いますが、ほとんどは建築の素人さんばかりです。
5.発注者は1年交代。
発注者である管理組合は、総会で決議して工事を発注しますが、その総会を仕切るのが理事長はじめ理事の方々です。この人たちは、一般的には1年の任期で交代してしまうので、数年かかる大規模修繕の議論が深化する前に、またゼロから話すことになり、これまた素人さんの発注者ということになります。
6.大規模修繕工事ができる業者が少ない。
マンションの大規模修繕を請け負う工事会社は多数あると思いますが、一般の建築と比較すると実績がある会社の数は少ないと考えられます。案件が出てくれば、顔を知った業者の中で協議することもできてしまう程度の狭い世界です。つまり「談合」し易いということです。
以上のような理由で関連業者は大規模修繕を受注することを期待するわけですが、要約すると素人さんがプロ相手に素手で戦うのが分譲マンションの大規模修繕工事と言うことになります。
しばらく私が関係したあるマンションの大規模修繕計画の話を書いてみます。