昨日このブログで最近の「ウッドショック」の原因として、アメリカでコロナ禍によって郊外に戸建て住宅を求めて引っ越しする人が増えたこと、金利が低いこと(住宅ローン金利が低い)、株高の恩恵があることの3点を挙げました。
そしてその影響が日本に及んで深刻になっていると書いたところ、アメリカの方が影響が大きいのではないでしょうか?というご意見をいただきましたので解説を。
アメリカの住宅市場は年間新築住宅件数が約180万戸。人口は3億3,300万人で日本の2.6倍ありますが、件数は日本の2倍に過ぎません。
それではアメリカの人は住宅が不足しているのかというと、そうではありません。
なぜならアメリカの住宅市場で新築住宅が占める割合は、日本と違って10%程度に過ぎないからです。しかも注文住宅はほとんどなく、多くは建売住宅です。
残りの90%は中古(既存)住宅を購入するので新築住宅がなくても困らないのです。
それでも新築住宅が高くなったら困るだろうと言われると思いますが、困るのは建売業者であってエンドユーザーはそれほど困りません。高い建売住宅を買わなければ良いのですから。
ではアメリカの中古住宅はどうなっているかと調べてみると、ケースシラー住宅指数という最も信頼されている指標を調べてみると、2021年2月に全米平均で対前年11.9%と2006年2月以来15年ぶりの上昇幅を記録しています。
2006年と言えば、リーマンショックを引き起こしたサブプライムローン問題を生んだ不動産価格高騰の初期の頃です。
つまりアメリカでは新築住宅が買えなければ、中古住宅が山ほどあるので、予算に合った中古住宅を探せば良いのです。その影響で中古住宅の価格が上昇したものです。
日本ではそうは行きません。中古住宅市場はそれほど大きくなく、あくまで注文住宅志向なので、それぞれバラバラの設備・間取りで工期もバラバラですから、安いうちにまとまって部材をストックしておくということができないのため、価格高騰はダイレクトに反映されます。
ということで、ウッドショックはアメリカの新築住宅価格にも影響することを否定しませんが、建売より注文で家を建てるニーズの方が高い日本に与える影響の方が大きいというのは、このような事情があるからです。ご理解いただけたでしょうか?
ちなみにアメリカでは新築住宅も中古住宅も、立地や面積が同じなら価格はほとんど変わりません。築年数は関係ないということです。このあたりも日本人は理解できないところかも知れませんね。
本日は家づくりに何の役にも立たない話で申し訳ありませんでした。