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鉄製階段の落下事件に学ぶ欠陥住宅を造らない方法

東京都八王子市で築8年のアパートの鉄製階段が落下し、住民1人が死亡した事件で、このアパートの施工会社や建築士事務所が家宅捜査を受けたとの報道がありました。

鉄製階段を固定する箇所が木製になっており、その部分が腐食して落下したのではないかと言われています。

ネット上では欠陥アパートだとか手抜き工事だとか、いろいろな意見が飛びかっていますが、みなさんはこの事件のどこに問題があると思いますか?

日本の法律ではこうなります。

建物を建てる場合、その設計は建築士に依頼します。(建築士法)
大手ハウスメーカーで建てる場合は、通常そのハウスメーカーの社内の建築士に依頼することになります。

また直接建築士に設計を依頼することもあります。地元工務店で建てる場合は、工務店の社内に建築士がいるか、工務店が外部の委託することが一般的です。

いずれにしても建築士が設計します。今回の事件で設計を担当した建築士は「階段はすべて鉄製で設計した。」と証言しているようです。

設計が終わり建築確認申請をして確認済証が出たら着工できます。工事は建設業法に基づいてハウスメーカーや工務店が行います。

仮に今回の事件で建築士が言うように、鉄製で設計した箇所が木製になっていたら、施工業者の責任になるのでしょうか?

答えはノーです。

確かに設計図と異なる施工をすれば、それは施工業者の責任になります。

しかし設計した建築士には、もう1つ建築士法に基づく責任があります。建築士は工事を監理し。設計図書と異なる箇所があれば、それを指摘して是正する義務があるとされています。

確かに「鉄製で設計したのに現場が木製になっていた」のなら、それは施工業者の責任でもありますが、監理をしなかった、あるいは見逃した建築士の責任も問われます。

私が推測するに、建築士は現場監理をしていなかったと考えます。なぜなら弊社住宅相談センターは、施主様からの依頼で建築中の現場の第三者監理を行っていますが、監理建築士として建築確認申請書に記載されている建築士が現場に来たことはほとんどないからです。

建築士に直接設計を依頼する場合は、建築士さんが出て来ることもありますが、それでも全部ではありません。(私が付き合っている建築士は良心的な人ばかりなので、しっかり監理をしていますが。)

多くの場合、建築士は「現場監理に出て行くほど報酬をもらっていない。」と言って出てきません。これは立派な建築士法違反です。

したがって、今回の事件が報道の通りだとすると、建築士法の設計業務では建築士は無罪。施工では工務店に一定の責任が認められ(これが建設業法違反なのか、不法行為なのか民法違反なのか私にはわかりません)、監理業務をしていなければ建築士は建築士法違反になると思われます。

設計した建築士と管理業務をする建築士は異なっていても大丈夫ですが、建築確認申請に記載された建築士でなければなりません。

またひょっとすると、この事実を知っていながら放置していたという点で、施主(アパートオーナー)の責任も認められるかも知れませんが、報道されている範囲ではわかりません。

以上でおわかりいただけたかと思いますので、今から新築工事を始める方は、「必ず建築士さんが監理業務をしてくれますね?それはどの工程で、完成まで何回やってくれますか?」と必ず確認されることをお勧めします。