ここのところ「最近の不動産価格はバブルだ。」とか「バブル前夜だ。」という表現があふれています。
バブルとは日本語に訳せば「泡」で、泡と消える=無駄になる=実体のないものを表現するとき使われます。
1986年~1990年の不動産や株価の急上昇(狂乱と言われた高騰)の頃から 使わ出した用語と記憶しています。
「バブルは終わってみて初めてバブルとわかる。」と言われるように、真っただ中にいるときは分かりにくいものです。
1990年のバブル崩壊や2007年のミニバブル終焉後、結果として最終的な所有者が不動産を売却しても返済できないほどの借金を抱えていたこと(実体がない評価額だったこと)で、バブルだったんだと気づいたのです。
では今の不動産価格はバブルなのか?長く不動産業者に居ることで業界を見てきた経験から判断してみます。
1990年も2007年もバブルであったときの不動産取引は、値上がりを見込んだ不動産産業者の投機的な転売が横行していました。
地主さんが売った5000万円の土地を、A業者が買い取って7000万円でB業者に売り、B業者はこれまたすぐに9000万円でC業者に売る。C業者はD業者に1億2000万円で売る。
最後にバブル崩壊で売り先がなくなったD業者が多額の借金を抱えて倒産する。
D業者に貸し付けていた金融機関の経営が危なくなって、一部は倒産。一部は吸収合併されたものの、他行は国から公的資金の投入を受けて生きながらえている。その負担によって一般経済の回復が遅れ、これがいわゆる「失われた20年」になったものです。
以上がバブル崩壊の流れです。
現在の不動産市場は、確かに業者や投資家の買取は多いのですが、その業者が別の業者に転売するところまでは行っていません。(もちろん一部には見られますが、バブルの時のように一般的ではありません。)
多くの不動産は、最終的にエンドユザーが購入して、投機ではなく自分の利用目的のために使っています。
エンドユーザーは自宅や会社の事業のために利用しているので、仮にバブルが崩壊しても、売り先がなくて借金を抱えて倒産することにはなりません。
そう考えると現在の不動産取引には実態がある訳で、泡と消えることはないのでバブルではないと言って良いと思います。
ただし一部では投機的な取引も見られるので、これが続くようであれば「バブル前夜」という表現は使えるのかもしれません。現状はこのような市場になっています。