住宅や土地の購入にあたって買主が住宅ローンを利用する場合、仮に住宅ローンが承認されなかったら、一般的には買主はその物件を購入することができません。
そのため売買契約書や重要事項説明書には「金銭の貸借に関する事項」(ローンに関する事項)を記載する箇所があって、融資が利用できなかった場合は、契約自体が白紙解除になるようにしています。これをローン特約と言います。
これは買主保護の規定ですが、一方でこの特約を乱用されると売主に迷惑がかかることから、条件を付けて乱用されないようにしています。
そのため次のような条件が契約書や重要事項説明書に記載されます。
1.借入金額
2.借入金融機関
3.借入金利
4.返済期間
そして融資承認を得る期限を「何年何月何日まで」と定めます。何月何日までに承認が得られなかった場合は白紙解除となります。
ところがときどきこの条件をきちんと明記していない書類が見受けられるので指摘するのですが、仲介する不動産業者は「これは一応書いてあるだけで、別のローンを借りてもらっても良いので・・・」などと言います。
これには十分気を付けて下さい。
例えば借入金利がブランクになっていることがありますが、この場合・・・
資金計画では住宅ローン金利を変動金利型0.5%で考えていたところ、借入先の候補としていたA銀行から0.6%でしか承認が出なかったとしたら毎月の済額が増えてしまいます。
これでは返済できないと思い、買主が白紙解除をしようにも借入金利が書かれていないと、A銀行で確かに融資承認は出たのだから解除はできないと売主に主張される可能性もあります。
実際にそのような点が争点となって裁判になっているケースもあります。
不動産の売買契約は契約であることに変わりはありません。契約内容は文章で残り、解釈する人の立場で読まれます。
「一応書いてるだけ」ではだめです。契約内容でトラブルにしないために、ローン条項を利用する場合は、上記の項目をすべてきちんと書類に入れてもらうようにしてください。
ちなみにローン条項が適用できない場合で白紙解除しようと思ったら、違約金の対象となります。(期日によっては手付金放棄になることも)