シニア層の住宅の住み替え相談が増えています。
弊社住宅相談センターに相談される方は、総じてまだ元気な方が多いせいなのか、60歳代とはそういうものなのかわかりませんが、これからお住まいになる住宅が十分イメージできていないケースが見受けられます。
つまりこれから高齢化とともに家の中でできなくなることがあるということがイメージできないということです。
先日のご相談も、東京郊外の自宅を売却して都区部に住み替えたいという相談でしたが、都区部の住宅は既存(中古)住宅を含めて2階建て、3階建てがほとんどだと思います。平屋はほとんど見かけません。
60歳代ならそれも問題ないと思いますが、70歳代、80歳代になると2階3階はほとんど使わない部分になると思います。
それでも良いですか?と確認しますが、元気だから大丈夫ということです。
実際私の母親は85歳を過ぎるというのに、実家の2階に毎日洗濯物を干しているので、問題ないと言えば問題ないとも言えますが。
また立地については根津あたりというご希望がありましたが、あの辺りは坂道が多く高齢者には不向きではないかと思います。
仕事柄いろいろな街を見る機会がありますが、高齢者が住みづらい街の共通した特徴は、坂道が多い。道路から玄関の間に5段以上の階段がある。駐車場が1台分しかない。道路が広すぎるなどがあります。
また住宅については2階以上は使っていない。庭の手入れが大変。戸締りが面倒などの声が聞かれます。
この辺りを考慮して終の住処を検討する必要があります。
さらに自宅に住むことができなくなった場合はどうされますか?という質問を投げかけましたが、「施設ということでしょうが、まったく考えられません。」とこの辺りもイメージがないようです。
もちろんすべての人が施設に入所することを前提に生きていく訳ではありませんが、私たちFPとしては、万一入所することになった場合、どのような施設にどの程度の予算で入所するのか、あるいはしないのか、そうしたことがイメージで結構ですのであるとシミュレーションがしやすいのです。
実際次の住まいの詳しいイメージがないままに住み替えをされた方は、こんなはずではなかったと言って、また住み替えるという方も珍しくないのです。