不動産仲介業さんの紹介で、既存(中古)住宅のホームインスペクション(住宅診断)をしてきました。
依頼があって所在地を聞いたとき、すぐにこの住宅の外観や間取り、施主さんの顔が思い浮かびました。そう、私がハウスメーカー勤務時代に営業担当者として注文を受け新築していただいた、まさにその家だったのです。
ただすでにそのときの施主さんは住み替えておられて、今は2代目のオーナー様ですが、この方も今回住み替えることになり、新しい買主さんがインスペクションするものでした。それにしても奇遇ですね。
この住宅は新築後25年の鉄骨造2階建て、ペントハウス付きの住宅です。1階の和室では、お招きに預かって新築祝いのパーティをしたものです。
さてインスペクションの結果としては、今までにきちんとメンテナンスされていたこともあり、大きな補修個所はなく、精度(床や壁の傾き)も大変良く良好な状態に維持されており、適正に手入れをすれば、まだまだ50年くらいは住むことができそうです。
この住宅の一番は精度が高いことです。
通常木造住宅の場合、1階リビングを広く取ると、どうしても梁間が長くなるので、荷重がかかって2階の床がたわんでくるようになります。多くの現場でそのような事例を見てきました。
仕方がありません。木は生き物で、水分を含んでいるので経年によって含水率も変化し、どうしてもねじれを生じます。
これに対して鉄骨造は、もちろん気温によって鉄は伸縮しますが、その変身度は木より少ないと考えられます。新築時と変わらない精度が保たれているのも理解できます。
数多くの鉄骨造の住宅を診断してきましたが、鉄骨造の良いところは、間違いなく精度が高いまま維持されているというところだと断言できます。
自分が担当した住宅が、いつまでも良好に維持されているのを見るのは、大変気持ちが良いものでした。
※鉄骨造がベストと言っているのではありません。鉄骨には鉄骨の欠点があり、木造には木造の優れた点があります。家を建てる方は、双方を十分検討し構造を選んでいただきたいと思います。