住宅の間取り・プランを作る際に、とりあえず自分の要望を目いっぱい取り入れた間取り・プランを作って、そこから予算に合わせるように削ればよいとお考えになる方も多いと思います。
しかしこれはお勧めしません。
なぜなら追加・変更することは容易にできますが、予算に合わせて変更したり削ることは相当の苦痛を伴うからです。
弊社の建築士がうまいこと表現しています。それはあたかも「試合前のボクサーが計量をパスするために、汗を絞り、髪の毛1本まで剃るのと同じような苦しみ」になります。
しかもボクサーなら計量をパスして試合で勝てば、チャンピオンというこの上ない喜びと名声を得ることができますが、住宅はいくらそぎ落としても残念な気持ちしか残りません。
高い部材から安い部材に変えたり、広い家から狭い家にするのは楽しくありません。
また例えば1つ10万円のサッシがあったとして、それを1か所なくせば10万円安くなると思われるかもしれませんが、なくしたサッシの所には壁が増えるので、単純に10万円安くなるわけではありません。このあたり実際に見積もってみると、えっ!これだけしか下がらないの?ということも多いと思います。
さらに削っていく過程で玄関や階段や窓の位置を動かさざるを得なくなれば、根本的に間取りをやり直すことにもなりかねません。
本来なら間取り・プランを組み立てるときのアドバイザーである営業マンや建築士が、そのあたりをセーブしなければならないのですが、無下に断ればお客様に嫌われて仕事がもらえなくなるという意識が先行するのか、大抵の場合、言われるがままプランニングし、後で苦労することが多いのです。
間取り・プランニングは、まず予算に合った規模・仕様から始めましょう。追加するのは削除するより簡単ですし、気分的にも楽しいものです。