ここのところ間取りづくりについて書いています。
今回はあくまで参考の話で、みなさまのお役に立つかどうかはわかりません。ご了承おきの上ご一読ください。間取りに対する日米の考え方の違いについてです。
以前何度かアメリカの不動産市場の視察に行ったときの印象で書きます。(最後に行ったのが2008年ですから、相当古い情報ですが、統計などを見ていると今もそう変わっていないと思います)
アメリカの住宅市場は、注文で住宅を新築するのは少数派で、ごく一部の富裕層の家づくりになります。
新築住宅なら建売分譲を検討するか、総数で言うと中古住宅を購入する方の方が圧倒的に多いのが実情です。
新築建売住宅は、購入後将来の転居の際に売りやすいことを前提として考えるので、企画段階から流通しやすい間取りにしてあります。
広告を見ると確かにいろいろな間取りの分譲住宅がありますが、突飛な間取りはありません。誰にも受け入れられる一般的な間取りになっています。
一方注文住宅は、日本と同様に書店などでプラン集を売っていますが、先ほど書いたように比較的富裕層が新築するためのプランで、一般の人に参考になるかどうかわかりません。
突飛な間取りであっても、将来の売却時に売りづらくて価格が安くなっても富裕層は困らないのです。
アメリカの場合、一生のうちに数回以上引っ越しすることが普通で、その都度自宅を買い替えるので、住宅も売りやすさを一番に間取りを考えます。この点日本と異なるところです。
最近では日本でも住宅の資産価値を重視する人が増えていますが、資産価値を将来の売却可能価格と考えれば、アメリカ的な考え方は理にかなっていると思います。
資産価値を重視するのに、自分の家族のためだけの特殊な間取りにすることは意向に反することになります。
その点、分譲マンションは多少の流行はありますが、誰でも受け入れられる間取りが多いので、築後50年超のマンションでも流通しています。
ちなみに金融機関の評価上、特殊な間取りや建築単価が高すぎる豪華な住宅は、競売の際も売却が難しいとして低めに評価することになっています。
どちらの国が良いかという問題ではありません。参考までにお話しした次第です。