2021年・住宅ローン控除拡充の影響

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2021年・住宅ローン控除拡充の影響

明けましておめでとうございます。本年も変わらず住宅・マンションを購入・新築される方のためのサポート業務を続けてまいります。よろしくお願いいたします。

住宅ローン控除制度が拡充される税制改正案が出ているのを踏まえて、あるところからの依頼で記事を書きましたので、差し支えない範囲で一部を公開してみたいと思います。

まず改正案の内容は次の通りです。

① 対象となる住宅の床面積の緩和
従来の50㎡以上から40㎡以上に緩和(面積は登記簿による)

② 40㎡以上50㎡未満までの住宅の控除対象者の所得制限
通常の所得制限が3000万円以下であるところ、この部分の対象者は1000万円以下に制限されます。

③ 控除期間13年間の延長
消費税増税対策として導入された「控除期間を13年間に延長する特例」の期限をさらに延長し、2022年12月31日までの入居が対象となるようにしたうえで、契約締結の期限について、
1)注文住宅:2021年9月30日までの請負契約締結
2)分譲住宅(マンション含む):2021年11月30日までの売買契約締結を条件とします。

以上の改正が成立すれば、住宅販売業者としては「13年間の控除期間を利用するには、今が最後のチャンスです。」というトークになると思われます。

なお現在の低金利時代では、金利が1%以下のローン商品を利用する人も多く、住宅ローン控除による「ローンの年末残高の1%」の還付を受ければ、支払った金利との差額を得ることができます。

この点について本来なら自己資金を支出できる人まで、敢えて住宅ローンを利用する人が多いとして、会計監査院が控除率の見直しを求めていましたが、今年は見送られ「控除率のあり方を2022年度税制改正で見直す」と明記するにとどめました。

この見直しについて現時点で改正案は出ていませんが、還付される金額は「ローンの年末残高の1%、または年間に支払った利息額のどちらか少ない額」のようにされることが考えられます。

これについても住宅取得者には2021年中の取得が有利と考える材料になると思われます。

以上が住宅ローン控除に関する改正点ですが、これらは消費税増税とそれに続くコロナ禍による新築着工戸数の落ち込み、景気の低迷を懸念する住宅業界からの強い要望もあって、財政規律を度外視して実現することになります。

事実、新築住宅着工戸数は、
平成31年1月~令和元年11月 832,949件 対前年▲3.6%
令和2年1月~令和2年11月  749,697件 対前年▲10.0%と低迷しており、2020年11月まで17か月連続してマイナスを記録し、季節調整済年率換算値では4か月ぶりにプラスに転じたものの、総戸数82万戸は平成22年以来の少ない数値になると予想されます。

延べ床面積の緩和は、近年住宅を取得する層が若年ファミリー層だけでなく、単身の女性や夫婦のみ世帯など少人数の世帯が増えていることを反映したもので、より広範囲に住宅取得を促進することを狙ったものです。

厚生労働省の「2019年国民生活基礎調査」によると、1世帯当たりの人員数別の割合は、平成元年と比較して次のように変化しています。
・単独世帯            20.0% → 28.8%
・夫婦のみの世帯         16.0% → 24.4%
・夫婦と未婚の子のみの世帯    39.3% → 28.4%
・ひとり親と未婚の子のみの世帯   5,0% →  7.0%
・三世代世帯           14.2% →  5.1%

ご覧の通り、夫婦と子供2人のいわゆる「標準世帯」は全体の約4分の1に過ぎず、多数派とは言えなくなってきた一方で、「単独世帯」や「夫婦のみ世帯」「ひとり親世帯」が増加しています。その点で今回の延床面積の緩和は実情に合わせたものと評価できるでしょう。

一方で、空き家は相変わらず増加しており、その原因は単独世帯化の進行とともに高齢化が進行して亡くなる人が増加したことにあり、今後単身者向けなどの狭めの住宅の持ち家取得を促進することに疑問がないでもありません。

また人口減少に続いて2023年には世帯数がピークを迎えると予想されています。

これらを考慮すると、統計上の住宅の総数は満たされているわけですから、住宅取得が資産の形成に役立つとは言い切れない時代がやって来ることが予想されます。

このような状況を考慮しながら、ご相談者の事情に応じて「持ち家か賃貸か」「新築か既存(中古)か」など幅広く住宅の提案をすることが必要になります。