本当に地震に強い家とは?構造計算をどこまで信じるか

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本当に地震に強い家とは?構造計算をどこまで信じるか

施主さんからの依頼で新築中の住宅のホームインスペクション(第三者監理)をしている建築士さんから聞いた話をご紹介します。

木造住宅の上棟検査(建物が建ち上がって棟が乗った後の、いわゆる中間検査)のときのこと。

その建築士さんが見ると、どう見ても構造上耐力がないように思えるというのです。

そこで実際に設計した建築士さんに確認したところ、
1.構造計算をしており問題はない。
2.住宅性能評価を利用して、耐震等級3を満たしていると設計住宅評価書も発行されている。
という回答で、手続き上は何の問題もないとのことでした。

現在の法律では、木造住宅は2階建てまでは構造計算をする必要はなく、建築士判断によって強度を満たしていれば良いことになっています。

その現場の工務店は、全棟構造計算することをアピールポイントにしており、その意味では評価できる工務店だと思います。

それでもその建築士さんの目には強度不足と見えると言うのです。

では一体何を信じたら良いでしょうか?

ここで2005年に発覚した耐震偽装事件を思い出しました。

建築士A氏が分譲マンションやビジネスホテルの構造計算書を偽装して、コストダウンのために鉄筋の数を少なくて済むようにしていた事件です。

この事件は社会的大問題となり、国会でも取り上げられましたが、結局のところA建築士が有罪となった他、一部建設会社が罪に問われた程度で、法の一部を改正したり新設して収束しました。

この事件では偽装した建築士の罪は問われたものの、建築確認申請を受理して済証を発行した指定確認検査機関や市役所の責任は一切問われていません。考えようによっては、弱いところに罪を負わせて終わらせたとも言えるでしょう。

この場合も「お墨付き」があったにもかかわらず、結果として強度不足の建物が建っていたわけです。

その後の国交省の調査でも、約400棟のサンプル調査のうち5棟に強度不足の疑いがあると報告されました。構造計算をしてあっても意外に多いのです。

この事件を思い出すと、どのような構造計算も信じられなくなってしまいます。

解決策とするともう一度インスペクションした建築士さんが構造計算してみることが考えられますが、これにはコストと時間が必要になります。

この話を紹介したのは、すべて疑ってかかる必要があるということを言いたいのではなく、それ以上に図面通り、性能評価書通りに現場が施工されているか、そちらの方が心配ということを強調したかったからです。

いくら構造計算してあって性能評価書が発行されていても、その通りに施工されていない現場は意外に多いと思っています。そちらをチェックするが重要だと思うので、住宅を新築する際はホームインスペクション(第三者監理)を入れる意味はあると思います。