建築中の住宅の品質低下・どこが問題になるか?

住宅のこと相談して安心・安全・スムーズ

名古屋エリア随一の住宅相談専門の事務所
100%相談者のための家づくりをサポート

ご相談・お問合せ

【TEL受付】10:00~18:00 水曜休

  1. トップページ
  2. オフィシャルブログ
  3. 建築中の住宅の品質低下・どこが問題になるか?

建築中の住宅の品質低下・どこが問題になるか?

昨日、最近建築中の住宅の施工能力が低下しているのは人手不足のせいではないかと書きましたが、具体的にどのような点が問題になっているのかというお声をいただきましたのでお答えすることにします。

いろいろな工程で問題点は出ますが、本日は基礎配筋工事の工程の話を書きます。

基礎の鉄筋を組む際、一番重要なことは「かぶり厚」です。鉄筋と鉄筋の間隔、鉄筋と地盤面の間隔、鉄筋と配管の間隔などは適切な間隔を取ることになっています。この間隔にコンクリートが入ることで、基礎の強度を確保するからです。

このかぶり厚がしばしば問題にあるのが、配管が基礎を貫通する部分です。

長期優良住宅の制度が始まって10年以上経過しました。建てる住宅はすべて長期優良住宅だという野心的な工務店もあれば、一切やらないという工務店もあります。それだけ手間とコストもかかるのが長期優良住宅です。

長期優良住宅では配管は直接基礎を貫通させるのではなく、将来取り換えが容易にできるようにスリーブ管を設置した中を経由させることが多いようです。このスリーブ管と基礎の鉄筋の間隔は40㎜以上空けることとされています。(例外もあります)

スリーブ管は一般的に直系100㎜ありますが、例えば基礎の鉄筋の配筋間隔が200㎜で、鉄筋の直径が13㎜の現場だったとします。

配筋間隔200㎜-右側の鉄筋の半径6.5㎜-右側のかぶり厚40㎜-左側のかぶり厚40㎜-左側の鉄筋の半径6.5㎜=107㎜です。

つまり107㎜しかない隙間に100㎜のスリーブ管を設置するわけですから、よほど慎重に設置しないとOKになりません。設備の職人さんには気の毒ですが仕方がありません。

また基礎の立ち上がりの下を通す場合も同様に困難です。地面に平行に配筋されている鉄筋からかぶり厚を確保してスリーブ管を配置すれば、地中深く埋設することになり、建物のレベルや排水の勾配にも影響します。

これらを問題なくクリアするには、設計段階から検討して各部署打ち合わせをしておく必要があります。

現場では設備の職人さんが「こんなの図面通りにできないよ~」と悲鳴を上げているシーンがしばしば見られます。(私の経験上良心的な職人さんほど悲鳴を上げます。ということは、いい加減な職人さんの現場はそのまま素通りしているということです。)

このような施工能力の低下は、単なる人手不足ではなく建築制度の進化に現場が追い付いていないということでもあります。

本来なら社内で勉強会をして徹底する必要がありますが、教える人材が不足しているのか、その時間がないのか、そんなことも知らない現場監督が担当しているのか、あるいは知っていたとしても複数の現場を抱えていて確認する時間がないのか?

いずれにしても大変重要な部分に施工能力の低下が見られます。

再度、人手不足は建築業界の慢性的なトレンドです。大手ハウスメーカー、地元工務店いずれにも共通することです。これから住宅を新築される方はご注意いただきたいと思います。