住宅ローンの残価設定型は実現するのか?

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住宅ローンの残価設定型は実現するのか?

報道によると、国土交通省は民間事業者と協力して「残価設定型住宅ローン」の開発を始めると発表されました。

この話は、私が国交省事業の中古住宅流通促進事業に関わるようになった8年ほど前から検討されていたもので、ようやく公表する段階に来たようです。(国の政策は、ポッと出て来るようで、実は10年以上検討してきた政策が多いのです)

残価設定型のローンとは、今や車を購入するときに多くの若い人が利用しているローンとして知られている支払い方法です。

例えば300万円の車を購入する場合、6年目になるときに事業者が150万円で買い取ることを前提として、残りの150万円分だけを支払うローンです。

300万円分のオートローンを利用しなければならないところ、半額のローンで済むわけですから、若い人たちは購入しやすくなります。

これを住宅に適用すれば、住宅がもっと売れるだろうということです。

当時国交省会議で議論したときの私の見解は・・・

1.車は2年1度の車検があって、中古車であっても整備されていて安全だけど、日本の住宅は建てたあとはほとんどメンテナンスがされないので、資産価値が不透明。買取価格の約束ができない。

2.日本の中古車市場はオークション市場もあり、情報が公開されているので、どのような車がおおよそいくらで売れるということがわかるのに対して、住宅市場はほとんど情報が公開されておらず、またその住宅がどのようなメンテナンスをしてきたのか、どのような補修をしたのかまったくわからないので、市場として機能しない。つまり残価がわからない。

3.日本の中古住宅は建てた時が一番高く、あとはどんどん減価して木造なら25年もすれば価値がゼロになるので、残価と言っても結局は土地代になる。
つまり買取保証価格が住宅価格ではなく土地代に近くなる。

4.研究することに反対はしないけど、もっと他にやることがあるのではないですか
ということでした。

その後、新生銀行が2019年11月に「支払額軽減型住宅ローンパワーセレクト」という商品を発表しており、これが事実上日本初の残価設定型住宅ローンになりました。

ただしこのローンは旭化成ヘーベルハウスと提携し、ヘーベルの買い取りサービスが付いている住宅だけが対象になっているようです。

返済の最終回に残した元本を一括で支払うことになりますが、その際ヘーベルが買い取れば自分で支出する必要はありません。(もちろん自宅はなくなりますが)

ただ金利は1.5%と現在の相場からするとお高い。

このローン商品は住宅の資産化を計画的に進めてきたヘーバルハウスだからできることで、おそらくこれに追随するのは、大手ハウスメーカーの中古住宅「スムストック」くらいでしょう。

さてここで国交省がこの発表したのには、何かわけがるのでしょうか?昨年の消費税増税以来。コロナ禍も相まって注文住宅の受注は前年を割ったままです。

この状況を乗り切るために残価設定型住宅ローンは大変有効だと思われます。大手ハウスメーカーの思惑があるのでしょうか?

それはさておき、現在の国の住政策は「フローからストックへ」であることは住生活本法に謳っているとおりです、つまり新築から既存(中古)へというのが基本なはずです。

それに従うのなら、残価設定型住宅ローンの開発より、既存住宅支援用の住宅ローンを開発することが先ではないかと思うのです。

さらに国民の可処分所得がどんどん減っている中で、住宅取得のために新型ローンを繰り出さなければならないとは本末転倒ではないかとも思います。