あるリゾート地にあるホテルを売却するにあたって、建物の診断をしてほしいとのご依頼をいただきました。
弊社住宅相談センターはホームインスペクション(住宅診断)を行っている関係で、年に1~2件このような大規模な建物の診断のご依頼をいただくことがあります。
今までに倉庫、スーパーマーケット、商業ビル、高齢者施設などを診断しました。
今回はホテルとそれに付随する従業員宿舎などを、1泊2日で(もちろんそのホテルに宿泊しました)診断してきました。
このホテルの所有者は純然たる民間企業ではなく、半官の団体なので、売却した後に何か問題が発生して買主とトラブルになってはいけないということで、徹底的な調査をすることになりました。
特に今年の4月からは改正民法が施行しており、買主の契約の目的に合わなかった場合、契約不適合という責任を追及される可能性も大きくなっています。
細かな箇所もきちんと調査して報告しておけば、そのようなリスクも低減できるという訳です。
今までの日本の不動産市場では、中古物件は細かく調査しないで、問題点があたっとしても知らなかったとして隠し、一刻も早く契約することに重点が置かれてきました。
結果として買主は思わぬ損害を被ることもあり、泣き寝入りすることもありまし
た。これではいつまで経っても中古物件の売買は活性化しません。
そんな中でも今回のような堅い考えを持っている売主さんは、自分の費用でできるだけ調査し安心して購入いただこうと努力をしているのです。
これはホテルという大きな物件に限る話ではありません。どんなに小さな物件でも買主には大きな買い物です。
どうかこれから住宅の売買に関係するかもしれないという方は、建物のホームインスペクションをして納得の上で購入できるようにしていただきたいと思います。
余談ですが、弊社の経験上、売却に先立って売主さんが自費でホームインスペクションをするケースでは、売主さんが学校の教員であった方が8割以上です。
不思議だと思っていたのですが、今回のホテルも半官の経営で、民間企業とは異なる意識をお持ちなのだと改めて感じました。