ここのところ新築後の年数が少々経っている鉄筋コンクリート造の既存(中古)住宅を購入したいが、耐震基準適合証明書を出してもらえないかという問い合わせが続いています。
1981年(昭和56年)6月1日以降の建築確認を受けた住宅であれば、新耐震基準を満たす住宅として、一般的には一定の耐震性があると考えられています。
また新築後25年以内(木造は20年以内)の住宅であれば、購入時の各種減税を受けることもできます。
しかしこれ以前の住宅の場合は旧耐震であり、また減税を受けることができません。(減税は新耐震基準で既存住宅売買瑕疵保険が付保された住宅なら受けられます)
そこで耐震基準適合証明が発行される住宅であれば、耐震性も確認できるし、減税も受けられるということで問い合わせが来ます。
しかし・・・
鉄筋コンクリート造の住宅の耐震診断は、原則として設計図面や構造計算書がないとできません。
コンクリート造なので柱や梁の鉄筋はコンクリートに埋まっており目視できません。(木造は一定範囲は見ることができます)そこで設計図面でどの程度の鉄筋が入っているかを確認します。
さらにその鉄筋量で構造的に問題ないかを構造計算書で確認します。
また本当に図面通りに施工されたかどうかの確認のために、建築確認申請書や検査済証を確認するわけです。
ここまでやって、もちろん現場も確認して、初めて耐震性の確認ができます。
ところが残念なことに、構造計算書が残っている住宅はほとんどない。場合によっては設計図面もない。確認申請書も検査済証もないとなると耐震性の証明は不可能になります。
ずべての書類を揃えなければダメということではありませんが、ある程度の書類がなければ診断すらできません。
ということで鉄筋コンクリート造の住宅の耐震基準適合証明書の発行を受けることは大変難しいことになります。
これは中古住宅を購入する方だけでなく、鉄筋コンクリートの住宅を建てようとしている方、すでに建てた方すべての方にお願いですが、必ず住宅に関する情報・書類はまとめておいて、すぐにわかるように保存しておいていただきたいと思います。
ちなみに弊社住宅相談センター建築士事務所は、鉄筋コンクリート造の適合証明書を発行することはできませんので、専門の建築士さんをご紹介しています。