先週弊社住宅相談センターにあったご相談をご紹介します。
既存(中古)住宅を購入するために、既存住宅売買瑕疵保険(購入した住宅に欠陥があった場合、保険金で修補できる制度)を利用したいと思って、自分で検査事業者を探した。(この保険を利用するためには住宅を検査して「適合」判定をもらう必要があります)
検査に立ち会ったが、本当にこの料金でこんな検査しかしてくれないのかという程度の検査だった。
さらに屋根裏に水染みが発見されたので、追加調査をしてもらい補修の提案を受けたが、屋根の全面張り替えの高額な見積もりが出てきた。本当にこのような補修をしないといけないのでしょうか?という相談です。(検査に適合するためには、指摘事項を修補して再検査を受けなければなりません)
現在保険法人からの通達で屋根裏に水染みを発見した場合は、水掛け試験をして原因を特定し、補修しなければ「適合」判定は出せないことになっています。
それを順守しているので手続き的には問題ないと思います。また検査の内容はお聞きする範囲では、検査マニュアルに従っているようなので、こちらも問題ないと思います。
ただ一点気になるのは、その検査事業者がリフォーム会社であるということです。
検査事業者は建築士であって一定の講習を修了した人しかなれません。その資格者がいれば建築会社やリフォーム会社が検査事業者であってもおかしくはありません。
しかし検査事業者が建築会社やリフォーム会社であった場合、懸念されるのはいわゆる「点検商法」と同じように、検査をして発見した指摘箇所を自社で補修することで利益を上げようとする業者がいるということです。(事実そのような業者を見ます)
場合によっては、ろくに検査をしないで補修箇所だけを強調して補修を勧めることもあります。検査料金は数万円でとても利益が上がる業務ではありません。それより改修工事を受注した方が儲かります。
単なる水染みだけで、屋根の全面張り替えが必要かどうかは現場を見ないとわかりませんが、相談者の話を聞く限り「点検商法」ではないかと疑われるケースではあります。
ということで、住宅診断を依頼するには、検査事業者の本業は何かという点を確認する必要があります。
すべての業者がそうだとは言いませんが、建築業・リフォーム業が本業である事業者は避けた方が良いと思います。
検査マニュアルにも「中立性を確保すること」と書かれているので守らなければならないことですが、経済の論理で考えれば儲かる方に流れるのは当然のことだと思います。