住宅を購入するために住宅ローンの申し込みをしようという妊婦さんに対して、「妊娠の事実を銀行に言うと団体信用生命保険が通らないので内緒にしておいた方が良いですよ。」と不動産業者がアドバイスしてきたそうです。
この妊婦さんは大変真っ当な方だったので、「それは事実不告知になってしまうのではないか。」と心配されて相談にいらっしゃいました。
仮に妊娠の事実を告知しないで団体信用生命保険に加入できたとしても、妊娠中あるいは出産によって保険事故になった場合、当然のことながら事実不告知で保険が出ないばかりか、融資金の全額返金を求められることもあり得ないことはありません。
不動産業者は住宅を売ってしまえば仕事は終わりですが、その後も住宅ローンを払っていくのはお客様です。お客様に不利になるようなアドバイスはダメです。
確かに妊娠中の団信は断る金融機関がありますが、今回申し込みしようとする金融機関は、たまたま私が本店審査部長をよく知っている金融機関で、妊娠中でも団信OKになることはわかっていたので、「正直に告知してください。」とアドバイスしました。
結果として何の問題もなく団信OKとなりました。
不動産業者だけでなく、FPの中にも「団信の告知書は病気など該当なしと書いて出せばよいですよ。将来その病気で団信のお世話になる確率はほとんどないのですから。」とアドバイスする人もいますが、本当にお客様のことを考えるのなら、正直に告知したうえで、それでも団信が通る金融機関を探すのがプロというものではないでしょうか。
安易な不実の告知は絶対に止めましょう。