今まで弊社住宅相談センターに寄せられた相談事例をご紹介しています。
家づくりの一番の楽しみは間取りづくりですが、逆にこれが苦痛になる人も多いようです。
「いろいろ出してもらっているけれど、どれもしっくり来ない。」「建築士ならプロとしての提案があって良さそうなのに、私たちが言ったとおりにしか設計しない。」などいろいろな相談が寄せられます。
間取りが決まらない方に話を伺うと、まずいきなり間取りを描き出している方が多いようです。それ自体に問題があるとは言いませんが、最低限の決まりを理解しないで描き出すとしっくり来た間取りができるかもしれませんが、建築基準法的にできないとか技術的にできない間取りができてしまいます。
実現できない間取りでも一旦自分でしっくり来てしまった間取りは頭から外れません。実現可能な間取りができた後も頭に残ってしまいます。
また間取りの一部を変更するとほかの部分にも影響してくることを理解してほしいと思います。
最後にこの部分だけ変更したら理想の間取りになると思っても、その部分を変更することで他の部分も変更せざるを得なくなり、逆に理想とかけ離れてしまったということも多いのです。
特に玄関位置や階段位置を変更するときは、間違いなく原型をとどめなくなると思います。
このような苦しみをなくすためには、まず間取りをいきなり描き出さないことが大切です。
1.自分たちは、その住宅でどのような生活をしたいかを明確にします。できれば優先順位をつけて書き出しておきましょう。
2.その生活に沿ってゾーニングをしましょう。間取りを詳細に決めるのではなく、どのような広さの部屋をどの位置に持っていくか。この点に絞って大まかな部屋の配置を考えます。これを納得いくまでします。
3.このゾーニングに基づいて詳細な間取りを入れてもらいます。ゾーニングによって階段位置や玄関位置は移動しようがないほど確定しているはずです。
1と2の作業を簡単にしたまま間取り作成に入ると、枝葉末節な部分が気になってしまい間取りが決まらなくなります。