既存(中古)住宅を購入する際に、既存住宅売買瑕疵保険を付保した住宅なら築年数に関わりなく住宅ローン減税など各種減税が新築住宅並みに利用できるという話を書いてきました。
しかしこの瑕疵保険の現場検査にどうしても適合しない住宅のために、もう一つ「耐震基準適合証明書」の発行を受ける方法を提案します。
弊社住宅相談センターでも行っていますが、住宅の耐震診断を実施して耐震基準1以上の数値が出れば、耐震基準適合証明書を発行でき減税が受けられます。
こちらは瑕疵保険の現場検査よりなじみがあるのか、多くの不動産業者さんから問い合わせがあります。
しかし結論から言うと、耐震診断をして基準を満たしている住宅は少数派なのが現実です。
よく昭和56年6月1日以降に建築確認申請した住宅は新耐震基準と言って耐震性があると言われています。それ以前のものを旧耐震と言います。
ところが現在は阪神淡路大震災を受けて平成12年に耐震基準が強化されたため(仮に最新基準と言っておきます)、新耐震基準の住宅でも最新基準で計算すると満たせない住宅が出てきます。
ざっくりですが旧耐震で満たすのは3%程度、新耐震で満たせるのは30%程度と言ったところでしょうか。
先日行った診断では最新耐震の住宅でしたが、満たせませんでした。
それは何故?と思われるかもしれませんね。耐震診断では現場の診断を行いますが、これは現地を設計図書と照合して柱や筋違いがちゃんとあるかを確認します。このとき設計図書がない住宅が多いのですが、その場合は数値を厳しい方で計算することになるため最新基準の住宅でも満たせなくなるのです。
また新築と異なり既存住宅は経年しているため、劣化を放置したままの住宅はその部分でも減点されます。
したがって最新基準の住宅でも設計図書がなかったり、メンテナンスをきちんとやっていなければ満たせないこともあるということです。
ということで耐震基準適合証明書はそう簡単には発行できないことを理解しておいていただきたいと思います。