先日不動産業者向けの改正民法の研修会に出席したところ、講師の方の説明が大変わかりやすかったので、それを拝借して瑕疵(かし:隠れた欠陥)について説明したいと思います。
住宅を取得した後に発見された欠陥について、契約書に書かれた範囲で売主の瑕疵担保責任を求めることができます。この場合、現行民法では損害賠償と契約解除を求めることができることになっています。
これが来年4月からの改正民法では、あらたに追完請求(修補請求・代替物請求・不足分請求)と代金減額請求ができるようになります。
さてこの瑕疵担保責任はどのようなときに認められるのでしょうか?条件が3つあります。
1.瑕疵であること。(対象住宅が通常有するべき性能・品質、または当事者同士が合意した性能・品質がないこと)
2.隠れた瑕疵であること。(買主が知っていなかったこと)
3.契約時に存在していた瑕疵であること。
以上が揃って初めて瑕疵担保責任を追及できます。
したがって入居後にリフォームしたことによって生じた欠陥は当然認められませんし、性能の低下や自然損耗・経年変化による劣化は瑕疵にはなりません。
そこで問題になるのが、住宅取得後2年後に発見した雨漏れはどうかということです。
仮に契約時点で雨漏れがあれば、2年間何もないということは考えられないので、2年後に発見した雨漏れは契約時には存在していなかったのではないかということになります。この場合契約時に存在していたことを立証することになるので、相当難しい問題になります。
また契約時には給湯器は使えたが、取得後に買主が使ったら作動しなかったという場合はどうでしょうか?
これは契約時に存在した瑕疵ではないので「瑕疵担保責任」を追求することはできません。ただ民法に定める「危険負担」が認められると思われるので、例えば補修費用とか新品に交換する費用の何%かは損害賠償請求をすることができると考えられます。いずれにしてもそう多額にはなりません。
このように考えると、住宅に関するさまざまなトラブルは、意外にも瑕疵担保意責任を追及することが難しいと考えられるのです。この点、不動産業者さんもお客様も完全に理解していないことで、トラブルがより大きくなっていることもあるようです。
これから住宅を取得される方、瑕疵を発見してしまった方は、この3つの条件をご理解いただいて対策していただきたいと思います。
なお3つの条件のうち2の「隠れた瑕疵であること」は、来年の改正民法によって隠れていなくても良いことになります。買主が知っていたとしても瑕疵になります。
最後になりますが、ここまで使ってきた「瑕疵」という用語ですが、改正民法で「契約不適合」という用語に名称変更されます。悪しからず。