最近はハウスメーカー・工務店をどのように探したら良いかわからないという方のために「建築会社紹介ビジネス」が花盛りです。都心の駅前一等地に相談室を設けている大手企業から個人で行っている人まで多種多彩です。

このビジネスの仕組みは、相談者に相応しい建築会社をいくつか紹介し、成約した場合は工事金額の３～５％程度を紹介料として受け取るというものです。仕入れや設備投資をほとんど必要としないので高収益が期待できますし、相談者にとっては無数にある建築会社から相応しい会社を紹介してもらえるので資料請求したり展示場を何軒も回る手間が省けるメリットがあります。

先日ある紹介所の紹介で住宅新築の契約をされたという方から相談をいただきました。

優良企業にお勤めの３０歳代で年収も問題ないということでしょうか、５０００万円の住宅ローン（１００％ローン）を予定しているので少しでも有利な金融機関を紹介してほしいとのことでした。

このブログを読んでいただいている皆様はすでにご存知ですが、弊社の場合、住宅取得の資金計画の相談を受けた際は必ず住宅取得後４０年間に亘る家計のシミュレーションを作成して、最もフィットする資金計画とローンをご紹介するようにしています。

このお客様は、紹介所では勤務先や年収からして問題ないと言われたそうで、そのようなシミュレーションは作成しなかったため、さっそく弊社で作成しました。

結果は残念ながら総額５０００万円そのものが難しい。お子様の教育資金が不足するうえ、退職金で一旦は黒字になるものの老後資金が７０歳からショートするという結論が出てしまいました。

すでに契約を済ませていらっしゃるので、弊社ではどうすることもできません。ローン商品だけはご紹介しましたが、どうなってしまうのか・・・

建築会社紹介所の仕事は「成約した金額の一部を紹介料として受領する」仕組みですので、成約しなければ収益が上がりません。いちいち家計の分析をしていたらお客様のテンションも下がるでしょうし、面倒な過程が入ることで仕事の進め方としても無駄が増えます。成約を阻害するようなことは極力したくないのです。

したがって紹介所では家計のシミュレーションなど作成しません。最近でこそＦＰと言われる人たちが紹介所にもいますが、あくまで紹介所側のＦＰです。成約の障害となるようなことはしないでしょう。

紹介所を利用するメリットは先に書きましたが、それ以外の部分、今回は資金計画になりますが、その部分は別の独立した中立的なところにご相談されダブルチェックしてから契約されることをお勧めします。

せっかく夢のマイホームを手に入れたのに、生活が質素になってしまうのは本望ではないと思います。