夫婦とも働いていて所得税を納めている世帯が、住宅ローンを利用して住宅取得を計画する場合、ご主人・奥様共に住宅ローンを借りることでお二人とも住宅ローン控除を受けたいとおっしゃることがほとんどです。
この場合、連帯債務者・連帯保証人いずれかになることでお二人とも控除が受けられます。
しかしこの相談を受ける際には注意点もお話しなければなりません。
1.考え方としては一つの住宅に二人のローンが存在することになります。
こんなことは当たり前のことだと思われますが、ときどき「夫婦2つのローンを主人だけで借り換えたい。」という相談があります。これは一つの住宅に2つの異なる名義のローンが存在していることを失念している相談です。
二人のローンを借り換えるには二人そろって借り換えなければなりません。その時点でどちらか一方が新たにローンを借りられる要件を満たしていなければ。借り換えはできません。
借り換え時点で奥様が働かなくなっているとか、産休で収入が減っているケースなどがこれにあたります。
2.住宅ローン控除は10年間所得税(一部住民税)が還付されるものです。
これも当たり前ですが、ここで重要なのは夫婦とも10年間、ちゃんと所得税を納めることが確定しているのかということです。
転勤で控除を受けらない期間があるとか、奥様が退職したとか産休で所得税を納めていないなど、将来10年間予定した控除が受けられなくなることも考えられます。
この点は私がお勧めしている家計のシミュレーションを作成することで、控除の効果が見える化できるので必ず作成してください。
3.夫婦にはそれ以上のリスクがある
今結婚する3組に1組は離婚する時代です。夫婦2つのローンが一つの住宅にある状態のまま離婚することは、その処理をどうするか考えなければならない問題ですが、これがそう簡単にはいかないのです。
これから住宅取得をしようとするご夫婦に離婚の話をするのは気が引けますが、FPとしてリスクの説明をしない訳にはいきません。
以上を考慮すると、必ずしも夫婦二人とも控除を受けるために住宅ローンを借りることはベストとは言い切れません。そのご夫婦の事情によって異なってきますので、是非ご相談いただきたいと思います。
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