住宅の消費税増税についてたくさんのお問い合わせをいただきますので、再度書いておきたいと思います。
今回の2%の増税分については①住宅ローン控除の3年間延長、②すまい給付金の拡充、③次世代住宅ポイントの新設によって穴埋めすることになっています。(他に住宅取得等資金の贈与の特例の拡充もありますが、これは贈与を受ける人だけが対象)
そのうち最も効果的と考えられるのが住宅ローン控除の3年間延長ですが、この部分は
①住宅ローンの年末残高の1%
②納付した所得税(一部住民税)の額
③40万円(優良な住宅は50万円)
④住宅価格の増税分2%の3分の1の額
のいずれか最も少ない額が還付されることになります。
例えば3000万円の住宅であれば2%=60万円が増税となり、その3分の1は20万円になります。従来通りの①~③とこの20万円のいずれか低い額が還付されます。20万円が3年間に亘って還付されれば、増税分は穴埋めされたことになります。
しかし例えば3000万円を全額住宅ローン(元利均等返済で35年返済)、金利0.8%で借りた場合、11年目と12年目は20万円分の残高がありますが、13年目は19.8万円分しか残高がありません。
これがもっと低い金利であったり返済期間が短ければ、増税分全額が戻ることは難しいと考えられます。つまり11~13年目にも十分なローン残高が残っていなければならないのです。
また13年目までに繰り上げ返済したり、完済したり、売却したり、債務者が亡くなったりすると、そもそも還付金がまったく受けられなかったり減額されたりします。
したがって今回の増税対策をフルに利用しようとすれば、よくよく住宅ローン選びに注意しなければならないということになります。特に資金計画をする際には少なくとも13年後の将来までシミュレーションすることが必要になります。
弊社は家づくりのご相談をいただいたお客様には必ずこのシミュレーションをしていただくようにしていますが、全体から見れば少数派だと思います。
是非住宅取得の計画を立てる際には、家計のシミュレーションから始められることをお勧めします。
ちなみにこれをやったとしても、還付されるのはあくまで「住宅価格の2%の3分の1」であって、それ以外の諸費用等に係る増税分は対象外です。