数年前に弊社をご利用いただいて住宅を新築されたお客様からご相談がありました。
このお客様は弊社のセミナーに何度も通っていただき、2年ほど勉強期間をかけて家づくりに臨まれました。
最終的に選ばれたのが、その時点で東海地方ではまだ実績がない新工法でした。関東や近畿ではいくつか実績があったので問題ないと思われ、逆に東海地区第1号という名誉もあり選ばれました。
その工法をお聞きしたとき、弊社建築士は疑問を持ちあまりお勧めできないとお伝えしましたが、大変お気に召しておられそのまま着工されました。
工事期間中、いつものように何回か検査に入らせていただきました。
結果として何事もなく完成したのですが、数年経過してのご来社。詳細は書けませんが、弊社建築士が懸念していた箇所が問題となったとのこと。
現場を確認しましたが、新工法だけに補修の方法も検討がつかず、工務店に投げるしかないというのが実情でした。
何事も新しいモノが良いという時代ですが、新しいモノは経年していないので将来の姿がわからないという一面があります。
特に住宅は長く住んだ後に何事かが起こることがあり、短い期間では判断できないことが多いのです。
私もハウスメーカー時代に「新商品」を発売する前に建ててみる「試行棟」をいくつか見ましたが、それもそんなに長い期間建てておくものではありません。建てて問題がなければすぐに発売するもので、「建てるのには問題がない」という判断をするための試行棟であって、「家として長く住むのに問題はない」という判断のためのものではありません。
したがって特に住宅の場合は、新商品・新工法というのは避けた方が良いと思います。
ちなみにアメリカ人の住宅に対する考え方は、「日本人はなぜ新築住宅なんかを好むのか?建ったばかりのものなのに。」「それに引き換え既存(中古)住宅は、すでに何年もたっているという実績があるので安心。」というものです。参考になさってください。