最近は省エネ性能や断熱性能が高い住宅を希望される相談者(弊社に家づくりの相談をする人)が増えています。
このご相談者に共通することは、みなさん性能について大変よく勉強されているということです。
C値(相当隙間面積)は0.5以上を希望するとかQ値(熱損失係数)はこの程度、省エネ等級4を確保してほしいとか、理科系が苦手な私には難しい話をきちんと押さえていらっしゃいます。
(余談)ただし現在の省エネ基準は平成25年基準が採用されていますが、ここで求められている数値はC値でもQ値でもありません。UA値(外皮平均熱貫流率)やηA値(冷房期平均日射取得率)で計算し、新しく一次エネルギー消費量を計算に含めることができるようになりました。
ただ私が危惧することがあります。
そうした数値はあくまで図面上で計算された数値であって、実際の施工現場はそうなっていないことが多いということです。
どの位多いかと言うと、弊社が断熱性能の検査をした現場で補修の指摘が出なかった現場は一ヵ所もないと言えばお分かりいただけるでしょうか?
徹底的に数値にこだわって設計してもらっても、現場がそうなっていなければ期待した効果は得られません。
しかし現場を直接チェックしている施主さんはいませんから、多くの住宅は施主さんが考えているより低い省エネ性能・断熱性能になっていると思います。
施主さんはそんなことは夢にも思いませんから、ご入居後は「う~ん、やはりこの家は快適だ。省エネに貢献している家だ。」と満足されると思います。
数値にこだわることは悪いことではありませんが、そこまでこだわるのでしたら現場が図面通りできているか、そちらにも注力していただい方が良いのではないかと現場を見ている者としては心から思うのです。