大手ハウスメーカーの仕事は住宅を販売することです。そのためにはお客様の資金計画が予算をクリアできるように提案しなければならないのでいろいろな工夫をしています。
最近は一般的な住宅ローンを利用せず、住宅金融支援機構の「フラット35」の長期返済期間版「フラット50」を提案することが増えているらしいのです。
いつかこんな日が来るとは思っていましたが、すでに結構な数の申し込みがあるようです。
「フラット50」ですから返済期間50年間、ずっと金利が固定されているという商品です。50年間ですよ。ちなみに今から50年前、私は小学生でした。
返済期間が長くなる分、月額返済額が低くなるため年収制限をクリアし易くなり、より高い住宅を購入・新築できるという訳です。
試しに年収500万円の人で計算してみましょう。
フラット35の今月の最頻出金利は1.34%、フラット50は1.70%なのでこれを適用し、ともに元利均等返済で計算します。
年収制限の要件から計算すると、この人の月額返済額は14.6万円が上限となります。
そうすると・・・
フラット35の借入可能額は4,887万円。これがフラット50なら借入可能額が5,891万円までアップします。
何と同じ人がフラット50を利用するだけで約1,000万円高い住宅を取得できる計算になります。こんなおいしい話だから大手ハウスメーカーは提案しますよね。
しかし返済総額は?と見てみると・・・
フラット35は6,125万円。
フラット50は8,750万円。
年収500万円の人が8,750万円を払う?サラリーマンの生涯給与がざっと2.4億円(もちろん会社によって異なります)と言っているときに、その36%をローンの返済に充てるのはいかがなものでしょうか?
大丈夫らしいです。営業マンはちゃんと「途中で繰り上げ返済すれば大丈夫ですよ。」と言っているそうです。
繰り上げ返済できる人は、住宅ローンを借りた瞬間の経済状態からシミュレーションによってわかります。繰り上げ返済できる人は住宅ローン利用者のうちの35%程度しかいません。大丈夫じゃない人はどうなるんでしょう?
ちなみにフラット50は長期優良住宅しか利用できないのですが、大手ハウスメーカーの住宅は標準仕様で長期優良住宅の認定が取れるので、このような営業も気楽にできるのでしょうね。
おそろしい・・・・
※住宅・不動産以外の話は、エスクローおじさんのブログに掲載しています。
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