定年退職後に田舎に移住して悠々自適で過ごしたいという夢を持っている人が多いのですが、そう簡単に田舎にとけ込めるものではありません。
岐阜県と、ある金融機関が共催した『清流の国ぎふ暮らしのセミナー』では、子育てや近所づきあい等の不安を解消するために、実際に岐阜に移住した主婦お2人のトークショーが行われた後、参加者相互の話し合いも設けてありました。
そこで私は自分の実家(岐阜県の山の中)の例を挙げ、実家を離れて50年、今からそこに戻れと言っても顔見知りや同級生は何人かいるものの、地域の慣習や行事についてはまったくわからない。そこに移住するには大きなハードルがあります。地元にいた私ですらそう思うのに、まったく縁のない移住者の方はどんなものでしょうか?という疑問を出しました。
回答は「自分の集落でも移住者はいつまでも移住者さんと呼ばれており、古い人だと30年前の移住者もそう呼ばれている。おそらく一生そう言われるのだと思います。それを気にしないで生活することがとけ込む秘訣でしょう。」と笑っておられました。
そう確かにその位でないとやっていけないよね。
今年弊社では国土交通省の「地域における空き家対策のモデル事業」の採択を受けましたが、日本人の働き手不足で求められている外国人介護実習生の住宅を空き家を活用して提供するとともに、地域に定着してもらうために実習生と地域住民の橋渡し役となるバディーさんをセットする企画を提案しています。
バディーさんは外国人実習生の日本における里親的な存在として、日本の暮らし方を伝えるとともに悩み事相談にも応じる人を想定しています。
外国人の世話をやく前に、都会の人と田舎の人の橋渡し役のバディさんも求められるのだと真剣に思ったわけです。都会の人と田舎の人は同じ日本人でも、そこまで異なった意識を持っているということを理解しておかないといけないと思うのです。
そう考えると東京一極集中の解消・地方創生なんて、本当にできるのでしょうか?