夫婦で申し込む住宅ローンの注意点

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夫婦で申し込む住宅ローンの注意点

株式会社住宅相談センター
CFP® 吉田貴彦(よしだたかひこ)

最近は女性の社会進出が普通になり共働き夫婦で経済力がある家庭が増えています。住宅取得についても夫婦それぞれが住宅ローンを利用することで、より高額な物件を購入することができるようになりました。今回はご相談が増加している夫婦2本立てローンについてご説明します。

1.住宅ローンの3つの借り方

住宅取得について夫婦で住宅ローンを利用する方法は次の3つがあります。

 

1)連帯債務型

夫婦のどちらかが住宅ローンの主債務者となり、もう一方が連帯債務者として同じく債務を負う方法を連帯債務型といいます。連帯債務者は主債務者と同等の返済責任を負います。連帯債務型では、連帯債務者は主債務者とともに住宅ローン控除を利用することができます。

団体信用生命保険は、主債務者は加入することができますが、連帯債務者は金融機関によって異なり、例えば夫婦とも加入できる「デュエット」という商品がある一方で、主債務者死亡時の保険金額が残債の100%または50%どちらかを選ぶ団信などもあるので確認が必要です。

2)連帯保証型

夫婦どちらかの主債務者の収入が少ないことで収入基準を満たせないような場合、もう一方の収入を合算して基準を満たすことができます。この場合の収入合算者は連帯保証人になりますが、これを連帯保証型といいます。収入合算者である連帯保証人は債務者が返済不能となったときには返済義務を負うことになります。

連帯保証人は直接債務を負っているわけではないので、住宅ローン控除を利用することはできません。また団体信用生命保険にも加入することができません。

3)ペアローン

1つの住宅について夫婦がそれぞれが住宅ローンを利用する方法をペアローンと言います。2本立てのローンになり、それぞれが自分で債務を負うとともに、互いに相手方の連帯保証人になります。

ペアローンは別々の1つの住宅ローンという扱いになるので、団体信用生命保険も夫婦それぞれで加入できます。また住宅ローン控除も夫婦とも住宅ローンを借り入れた主債務者として、それぞれ利用することができます。

ペアローンは2つのローンを借りるので、1人は固定金利型で借り、もう一方が変動金利型で借りて金利変動リスクを軽減するミックスローンとすることもできます。

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2.住宅の名義

連帯保証型では取得する住宅の所有権は単独名義になりますが、他の2つのタイプでは夫婦共有名義になります。名義は住宅ローンを含め住宅取得のために出資した資金に応じて所有権の持ち分をつけることになるので注意が必要です。

  連帯債務者 連帯保証人 ペアローン
住宅ローン控除 夫婦とも○ 主債務者のみ○ 夫婦とも○
団体信用生命保険
  • 主債務者○
  • 連帯債務者は要確認
  • 主債務者○
  • 連帯保証人×
夫婦とも○
諸費用 1本分 1本分 2本分
名義 それぞれの返済額と出資分に応じた名義 主債務者の単独名義 それぞれの借入額と出資に応じた持ち分
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3.夫婦で借りる住宅ローンの注意点

連帯債務型の場合、夫婦共に団体信用生命保険に加入できるわけではありません。この点は金融機関に問い合わせる必要があります。万一どちらかが加入できなかった場合は、団体信用生命保険以外の方法で死亡リスクを回避しておく必要があります。

連帯保証型は連帯保証人が住宅ローン控除や団体信用生命保険を利用することができません。また将来連帯保証人の地位を外れることは金融機関の承認が必要になりますが、ほとんど場合難しいので注意が必要です。

ペアローンは申込時に夫婦それぞれの審査が必要になり、それぞれが審査基準を満たさなければ利用できません。また個人信用情報もそれぞれ提供する必要があります。また事務手数料や契約印紙代・抵当権設定登記費用など諸費用が原則として2契約分必要になります。

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4.夫婦で借りる住宅ローンの将来の注意点

1)借換え

住宅ローンをペアローンや連帯債務型で借りた場合、将来借換えすることになったときは、夫の借入れ分は夫が、妻の借入れ分は妻がそれぞれ同時に借換えなければなりません。その時点でどちらかの収入が少ないとか、団信に加入できない健康状態になっていると借換えができなくなります。

また仮にどちらか一方がローン全額を借換えることができたとしても、自分の債務がなくなった側は経済的利益を得たものと見なされ、贈与税が課税されることがあります。

 

2)離婚

住宅ローンを利用している夫婦が離婚することになると、ローンをどう処理するかという問題に直面します。

住宅を売却して完済することに合意すれば問題ありませんが、売却しても住宅ローンを完済できないとか、どちらかが住宅に住み続けたいとなると解決が難しくなります。

例えば妻の持ち分を夫が買い取ることも考えられますが、その資金を住宅ローンで調達しようとすると、離婚届を提出する前であれば親族間売買となるため一般的には融資が承認されません。住宅を出た側のローンが残っていると、その住宅に住まないことから居住用のローンではないと判断されて、一括返済を求められることもあります。

また無事離婚はできたとしても、保証人の位置をそのままにしていることを失念していたために、数年後に前夫の債務の返済請求が来たという例もあります。最近はこの問題のご相談が増えているのですが、FPとしては金融機関や弁護士、税理士、司法書士などの専門家と緊密に連携して解決しなければならない問題です。

3)ライフプランを考慮した住宅ローンの提案を

住宅ローンは返済が長期にわたるため、将来を見据えてライフプランに合わせて選ぶことが大切です。

一般に夫婦共働きの場合、夫婦ともに住宅ローン控除を受けられるような借り方をしたいと希望されますが、将来夫婦どちらかが仕事を辞める可能性がないか、夫婦とも将来にわたって働き続けるのか、育児休暇を取得してから復帰するかなど、ご相談者によってライフプランが異なると思います。長期にわたるライフプランをFPが作成するキャッシュフロー表などで確認したうえで住宅ローンを借りることが求められます。

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