１.住宅ローンの固定金利型と変動金利型の違い

固定金利型とは

住宅ローンの返済開始当初から完済まで金利が確定しており、借入金利が変動しない住宅ローンです。金利変動リスクがなく返済額も変わらないので家計の将来を見通しやすく安心感があります。

ただし固定金利型は変動金利型と比較して、同じ時期で比較すると金利は高めになります。仮に現在の金利情勢がそのまま継続すれば、金利が低い変動金利型の方が総返済額が少なくなります。

変動金利型とは

変動金利型は返済期間中原則的として半年ごとに金利が見直されますが、月々の返済額は5年間一定で変わりません。
また、5年毎の見直し時に金利が上昇していて返済額がアップする場合でも、返済が厳しくなることを防止するために、それまでの返済額の1.25倍までを上限とする25％ルールがあります。（一部の金融機関では25％ルールがない商品があるので確認が必要です）

ただし本来125％以上の返済額にしなければならないところを抑えるわけですから、その分元金の減り方が遅くなります。
また金利が大幅に上昇して利息額が月々の返済額を超えてしまうような場合は、未払い利息が発生し不足した利息額が元金に積み上げられます。
逆に金利が低下している場合は元金の減りは加速します。

なお一部の金融機関に半年金利見直し型ではない商品があるので注意が必要です。
相対的に変動金利型の金利は固定金利型の金利より低く設定されるのが一般的です。
変動金利型は短期プライムレートに連動して金利が決まるため、景気が上向いてくると上昇する傾向にあります。

変動金利型の一種である、固定金利期間選択型は返済開始当初、例えば5年間とか10年間など一定期間は固定金利を選択することができる住宅ローンです。期間終了後は自動的に変動金利に移行する商品と、固定金利を継続するか変動金利に移行するか選択できる商品があります。

なお変動金利型の金利は固定金利型の金利より低く設定される場合が多いです。

２.住宅ローンの金利タイプを選ぶときのポイント

金利タイプごとに向いている人が異なる

住宅ローンの返済は長期間にわたって毎月支払うもので、その間の家族構成や家計の状態、ライフプランなどを考慮して、ご自身にあったタイプを選ぶことが大切です。

固定金利型が向いている人は、返済額が変わらない安心感を重視したい人です。住宅ローンの返済額の変動によってライフプランを変更することに不安を感じる人は、固定金利型が向いていると言えるでしょう。

変動金利型が向いている人は、今後金利が上昇する可能性が低いと考えている人や、借入当初の返済額を小さくしたい人です。一概には言えませんが、借入当初の金利は、固定金利型よりも変動金利型の方が低い場合が多いため、借入当初の返済額は変動金利型の方が小さくなる可能性が高いです。

両方の金利タイプでシミュレーションする

最近はシミュレーションソフトを使って固定金利型と変動金利型の両方で返済計画を試算することができます。どのような金利状況になると家計がどうなるかを確認することができ、住宅ローン選びの一つの目安にすることができます。

金利の予測と住宅ローンの選び方

将来的に金利上昇が起こりそうにないと判断される場合は、変動金利型の方が総返済額を抑えられる可能性があります。反対に金利が上昇すると判断する場合は、固定金利型を利用して金利上昇に備えることが良いと考えられます。

どちらとも判断がつかない場合は、住宅ローンの一部を変動金利型にし、残りを固定金利型にするタイプの住宅ローン商品を取扱っている金融機関もあります。

なお実際に借入れする金利は、店頭の基準金利からサービス分の引下げ金利を差し引いた後の適用金利（実行金利）になります。金利は毎月見直されますが、実際に融資が実行された時点の金利が適用されるので注意が必要です。

３.住宅ローンの金利タイプの変更

金利タイプ変更手続き

金利タイプは返済期間中でも変更可能な金融機関が多くなっています。変動金利型から固定金利型に変更、またはその逆も可能です。ただし固定金利期間選択型は選択した当初期間中は変更することができません。

４.金利を予測することは難しい

金利を予測できれば適した金利タイプの住宅ローンを選択することができますが、住宅ローンの金利は経済情勢による市場金利の変動や金融政策等によって変化するものです。したがって今後の金利動向は誰にも正確に予想することはできません。

これを前提として、長期間にわたる住宅ローンの返済を無理なく確実に続けられるように、住宅購入時にはまず将来の教育費や生活費の負担やご自身の資産運用の目標などを含めた家計のシミュレーションをすることで、ご自身がどのタイプの住宅ローンにあっているのかを理解することが重要です。